こんにちは。クリリンです。
有名予備校「河合塾」が出版する『物理のエッセンス』。割とポピュラーで、使用している受験生も多いようですね。
はっきり言って、『物理のエッセンス』はゴミ参考書です。
僕も受験生時代に実際に読んだことがあるんですが、あまりにひどかったのでその場で破って燃やしてしまいました。
まぁそれは嘘なんですけど、多くの受験生がこの参考書を使って「わかりにくい」といっている実情に若干腹立たしささえ覚えています。
今回は『物理のエッセンス』に対する批評を書いていきます。
物理は「科学」であり「感覚」ではない
教科書を読んでも分からないという声を生む原因は、物理の認識というかフィーリングのような部分です。
『物理のエッセンス』前書き
かなり人気の参考書なのでどんなに素晴らしい書籍なのかワクワクしながら開いた1ページ目にこんなことが書いてあるんですよ。最初に読んだ時はびっくりしましたね。
物理に必要なのは感覚やフィーリングなどという曖昧なものではありません。
当然ですよね。いつ・誰が・どのように再現しても同じ結果が生み出される。これが「科学」の基本なのですから。
「現象」を「物理」という科学で読み解き、「物理」を「数学」という科学で議論する。
これこそがニュートンが発明した古典力学であり、あなた達一人ひとりの「感覚」などというコンタミネーションは組み込んではいけないのです。発明したニュートンですら「感覚」は押し殺しているんです。
というわけで、『物理のエッセンス』はもう既に前書きから“エッセンス”を捉えそこなっているんです。
原理と公式の区別が不明瞭
物理は本質(エッセンス)を理解することから始まります。本質とは原理のことです。
例えば、力学の原理は運動方程式です。これはニュートンが見つけ出した「法則」であって、数学によって証明することはできません。いわば丸暗記しなければならない事項とでも言っておきましょう。
エネルギー保存則や運動量保存則などというのは、この運動方程式から数学によって導出される「公式」であって、“物理の問題を解く際によく使うから”といってどこかの誰かが勝手にまとめてしまっただけのものです。
『物理のエッセンス』では原理と公式の区別が明確にされておらず、あたかも公式を丸暗記すべきものかのように書かれています。
物理のエッセンスと標榜しておきながら「エッセンス」を捉えていないんです。
最近の難関大学・医学部の大学入試問題は物理の本質を問うような問題ばかりが出題されており、いわゆる「公式暗記」の物理では到底太刀打ちすることはできません。
解ける問題と言えばせいぜい型にはまった典型問題くらいで、少し応用されれば手も足も出なくなってしまうでしょうね。
そもそも解説に難あり
いや参考書として欠陥ですよ。特に力学の単振動や電磁気に関しては分野全般、読むに堪えない内容でした。説明不足もいいところです。
どうやらこの参考書が目指しているのが「解法のパターン化」のようです。最近の入試物理に対してこの方針には難があります。
数学とは違って、物理はあくまでも現象を理解する学問です。
設定を少し変更するだけで現象は一気に変わってしまい、難関大学・医学部に合格するためにはこれを理解できるようになることが必須です。
“〇〇ならば△△で解ける”という風に解法をパターン化をしてしまうと、大学入試ではそこをついてきます。カモられますよ。
とはいえ、解法パターンではなく、出題パターンを暗記しておくのは賛成です。高校物理の範囲内で構成される大学入試問題なのですから、出題のパターンは概ね決まってしまいます。
大切なのは、それぞれの出題パターンに対する「解法」を本質から理解することです。
ここまでできれば大学入試の問題程度なら手に取るようにわかってしまいますよ。
残念ながら『物理のエッセンス』ではこれはできないみたいです。
まとめ
要約すれば、『物理のエッセンス』は簡単に得点を取るために解法のパターン化を目指したが、かえって最も大切な本質を捉えそこなった参考書ということですね。
まぁもちろんわかりやすい部分もあるんですけど、読むと逆に頭が悪くなりそうな記述もたくさん含まれているんです。
この本を使っている人は今すぐ捨てるなり売るなりしちゃってください~。
コメント
コメント一覧 (4件)
物理教室などで、原理公式の勉強をしてから、エッセンスを問題集として使う場合でも、ゴミ参考書だと思いますか?
問題の部分だけを抽出して問題集としてのみ使うのならいいとは思いますが、それならもっといい問題集があるのではないでしょうか…。
物理初学者がやるような問題集がエッセンスくらいしか見つからなかったのです……
学校で配布される問題集でもいいのではないでしょうか?