こんにちは Leeです( ̄∇ ̄)
今回の記事では、これまでの読み物のような記事とは違い、具体的な数学の解法について話していきたいと思います。
この記事でピックアップする問題はズバリ、
極限(収束・発散・無限等比級数・極限計算)
についてです。
タイトルにも書いてある通り、数Ⅲの範囲なので、理系受験生向けの記事となっています。
理系であれば、多くの受験生が高校2,3年から、あるいは早ければ高校1年から数Ⅲを勉強し始めるかと思います。
その中でも、極限(収束・発散・無限(等比)級数・極限計算)は数Ⅲの基本になるため、最初に勉強する分野になります。
したがって、極限をしっかりと理解していないと、後で勉強する“微分・積分”も曖昧な理解になってしまいます( i _ i )
加えて、数Ⅲは数ⅠAや数ⅡBと少し毛色が違うため、戸惑う受験生も多いかと思います。
今回は、そんな重要な分野について、現役京大医学部生が受験生の頃に使っていたノートをもとに、基礎から応用までの全てを説明していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
それでは本題に入っていきます( ̄∇ ̄)
この記事はこんな人におすすめ!!!
・これから数Ⅲを勉強する人
・無限等比級数や極限計算が苦手な人(不定形の解消法まとめ表も載せています)
・模試前に数Ⅲの基礎を復習したい人
【基本】収束・発散とは
まずは、極限の中でも、かなり基本的な部分から説明していきます。
ただ、基本とは言っても、ここを理解していないと後で詰まってしまうので、しっかりと勉強しましょう!
【説明】数列{an}の収束について
大前提として、数列{an}について、nを限りなく大きくすると、anは収束するか発散するかの2通りしかありません。
ここでは、まずは収束する場合について説明していきます( ̄∇ ̄)
簡単に言ってしまうと、
“anのnを限りなく大きくすると、anがαに近づく”(ただしαは一定値とする)
この場合において、“anはαに収束する”といい、
“lim[n→∞](an)→α”あるいは“an→α (n→∞)”
と書きます。
※収束とは、あくまで“限りなくその値に近づく”というだけであって、その値になるわけではありませんので、そこは間違った理解をしないように注意しましょう!
【例題】数列{an}の収束について
ここからは、何問か簡単な例題を挙げていきます。
実際に問題を見てみると、より理解が深まると思います
(解説)
an=1/n より
lim[n→∞](an)= lim[n→∞](1/n)=0
この場合、nを限りなく大きくすると、anは 0 という一定値に限りなく近づくので、0に収束するというわけです。
また、an=1/n より an は限りなく0に近づくだけで、an=0 になることはありません。
(解説)
数Ⅲの知識がある人は特に注意ですが、これは無限等比数列ではないので、注意してください。
無限等比数列の場合、指数部分に“n”がきます。
(つまり、無限等比数列の場合、an=a x rn となります)
この問題は少し戸惑うかもしれませんが、落ち着いて場合わけができれば問題ありません( ̄∇ ̄)
(Ⅰ) r<0 のとき
lim[n→∞](an)=lim[n→∞](nr ) かつ r<0 なので、
lim[n→∞](an)=0
となります。
(Ⅱ) r=0 のとき
lim[n→∞](an)=lim[n→∞](nr ) かつ r=0 なので、
lim[n→∞](an)=lim[n→∞](n0 )=1
となります。
(Ⅲ) r>0 のとき
lim[n→∞](an)=lim[n→∞](nr ) かつ r>0 なので、
lim[n→∞](an)=∞
となります。
したがって、答えは
- r<0 のとき lim[n→∞](an)=0
- r=0 のとき lim[n→∞](an)=1
- r>0 のとき lim[n→∞](an)=∞
この場合、nを限りなく大きくすると、r<0 のとき、anは 0 , r=0 のとき、anは1という一定値に限りなく近づくので、それぞれ 0,1 に収束するというわけです。
ただし、r>0 のときに関しては、anは無限大に発散しますが、発散については次の章で話していきます。
それでは、これで収束については終わります(^O^)
【説明】数列{an}の発散について
次に、“発散”について説明していきます。
発散について理解する際、“収束しないものはすべて発散する”という風に理解すれば問題ありません。
また、発散には正の無限大(∞)や負の無限大(−∞)に発散する他、振動発散というものがあります。
例えばですが、an=(−1)n について考えると、nが限りなく大きくなるとき、
a2k−1=−1, a2k=1
となり、anは何か一定値に近づくわけもなく、±1を行き来します。
こういう場合において、“anは±1で振動発散する”と言います。
あとは、何問か例題を挙げておきます( ̄∇ ̄)
数列{an}において、nを限りなく大きくして、anが正の無限大や負の無限大に発散する場合、anは∞,−∞に収束するのではないか?と思う人もいるかもしれませんが、∞,−∞ は一定値ではないので、この場合は収束しているとは言えず、やはり発散していると言います。
収束するとは、あくまで“一定値”に近づくことだと理解しましょう!
【例題】数列{an}の収束について
(解説)
an=√n より、
lim[n→∞](an) =lim[n→∞](√n)=∞
これが答えになります。
つまり、anは正の無限大に発散していると言えます。
定義さえ理解してしまえば、簡単だと思います(^O^)
(解説)
an=−n2 より
lim[n→∞](an) =lim[n→∞](−n2)=−∞
これが答えになります。
つまり、anは負の無限大に発散していると言えます。
最後に、1問だけ例題を挙げておきます(^O^)
(解説)
an=(−2)n より
lim[n→∞](an) =lim[n→∞]((−2)n) なので
- nが奇数のとき lim[n→∞](an)=−∞
- nが偶数のとき lim[n→∞](an)=∞
これが答えになります。
つまり、anの発散先が2つあるので、“anは振動発散している”と言えます。
これで収束・発散については終わりです( ̄∇ ̄)
無限等比数列・無限(等比)級数について
次は、無限等比数列・無限(等比)級数について説明していきます。
最初に、無限等比数列について話してから、無限(等比)級数に移ろうと思います。
無限等比数列とその収束条件について
まずは、無限等比数列とは何かについてですが、
an=a x rn において、nを限りなく大きくした場合について考えたものを無限等比数列と呼びます。
無限等比数列においては、公比(=r)について、±1で場合わけする必要があるので、頭に入れておきましょう(´∀`)
また、無限等比数列を扱う際には、数学ⅡBでの数列の知識が重要になります。
したがって、忘れている人は数学ⅡBの数列の復習もしてしまいましょう!
無限等比数列は公比±1で場合わけする!!
したがって、an=a x rn について(ここではa=1とします)、lim[n→∞](an) を求めると
- r<−1 のとき anは±∞で振動発散
- r=−1 のとき anは±1で振動発散
- −1<r<1 のとき lim[n→∞](an)=0
- r=1 のとき lim[n→∞](an)=1
- r>1 のとき lim[n→∞](an)=∞
となります。
【無限等比数列の収束条件】
これより、無限等比数列の収束条件は、公比をr, 初項をa0とすると
・−1<r≦1 または ・a0=0
となります。
※特に a0=0 の方を忘れがちなので、気をつけましょう!
【例題】無限等比級数の収束に関する問題
最後に、例題を1つ挙げておきますね( ̄∇ ̄)
問題を見た通り、無限等比数列の収束条件に関する問題ですね(°▽°)
(解説)
まずは、初項と公比が何なのかについて考えましょう。
階乗部分の n−1 がかかっているのは x2+3x−1 です。
したがって、数列{an}の初項は 2x+1 ,公比は x2+3x−1 だとわかります。
あとは、先ほど書いた通り、無限等比数列の収束条件は、・−1<公比≦1 または ・初項=0 より
求める条件は、
【−1<x2+3x−1≦1 または 2x+1=0】
になりますが、1つずつ処理していきましょう。
(Ⅰ)【−1<x2+3x−1≦1】⇔【x2+3x>0かつx2+3x−2≦0】
(Ⅰ-a)【x2+3x>0】⇔【x(x+3)>0】⇔【x<−3,0<x】
(Ⅰ-b)【x2+3x−2≦0】⇔【{x−((−3−√17)/2)}x{x−((−3+√17)/2)}≦0】⇔【(−3−√17)/2≦x≦(−3+√17)/2】
以上より 、【−1<x2+3x−1≦1】⇔【x<−3,0<x かつ (−3−√17)/2≦x≦(−3+√17)/2】⇔【(−3−√17)/2≦x<−3,0<x≦(−3+√17)/2】
(Ⅱ)【2x+1=0】⇔【x=−1/2】
(Ⅰ),(Ⅱ) より、求める条件は
“(−3−√17)/2≦x<−3 , x=−1/2 , 0<x≦(−3+√17)/2”
これが答えになります。
計算が少しややこしいですが、やっていることは簡単ではないでしょうか(^O^)
無限級数と無限等比級数の収束について
無限等比数列の説明が終わったので、次は無限(等比)級数について話していこうと思います。
まずは、無限級数とは何かについてですが、級数とはΣ、つまり和のことを表します。
ですので、簡単にいうと、無限級数とは無限に続く数列の和を指します。
それでは、無限級数の正体がわかったところで、次に、具体的な計算の仕方に進んでいきたいと思います( ̄∇ ̄)
【説明】無限級数の計算の仕方について
タイトルに書いてある通り、今回の記事では無限等比級数をメインに解説していきます。
ただ、無限等比級数とは無限級数の一例ですので、まずは、無限級数の計算の仕方について話していきたいと思います。
やるべきことは至ってシンプルです。
- +,,,+ はΣに直す
- Σ計算(有限和)をする
- lim計算をする
数Ⅲの知識がある人であれば、区分求積もあるじゃないかと思うかもしれません。
(例えばですが、lim[n→∞]( 2n∑k=n 1/n +k)= lim[n→∞]1/n( 2n∑k=n 1/(1 +k/n))=∫ [1→2] (1/1+x) dx=log2/3 のようなものです)
確かに、これも数Ⅲで頻出の解法ではありますが、今回の記事では割愛しています( i _ i )
また別の記事で、区分求積については解説していくつもりです(^O^)
【例題】無限級数の演習問題
次は、何問か無限級数についての例題を挙げていこうと思います(^O^)
やっていることは、数ⅡB のΣ計算をしたあとに、簡単な lim 計算をするだけなので、問題なくできると思います!
無限級数に関する問題ですね( ̄∇ ̄)
手順通りに処理していきましょう!
(解説)
まずは、+,,,+ をΣに直すと、求めるべき値は
lim[n→∞]( n∑k=1 1/k(k+1))
だとわかります。次は、有限和、つまり、lim の中身を計算しましょう。
n∑k=1 1/k(k+1)=n∑k=1 {(1/k)−1/(k+1)}=1/1−1/(n+1)
最後に lim 計算をしてこの問題は終わりです(´∀`)
したがって、
1/2+1/6+1/12+,,,+1/n(n+1)+,,,=lim[n→∞]( n∑k=1 1/k(k+1))=lim[n→∞]{1/1−1/(n+1)}=1
これが答えになります。
数ⅡB のΣ計算がしっかりとできる人にとっては、簡単な問題ではないでしょうか(°▽°)
これも例題1と同様に、手順通りに処理していきましょう!
(解説)
まずは、+,,,+ をΣに直すと、求めるべき値は
lim[n→∞]( n∑k=1 1/(√n+√(n+1)))
だとわかります。次は、有限和、つまり、lim の中身を計算しましょう。
n∑k=1 1/(√k+√(k+1))=n∑k=1 {√(k+1)−√k}=√(n+1)−1
最後に lim 計算をしてこの問題は終わりです(´∀`)
したがって、
1/(1+√2)+1/(√2+√3)+,,,+1/(√n+√(n+1))+,,,=lim[n→∞]( n∑k=1 1/(√n+√(n+1)))=lim[n→∞](√(n+1)−1)=∞
これが答えになります。
この問題は無限級数が収束せず、発散する場合になっています。
【無限等比数列の収束と無限等比級数の収束の関係】
せっかく、無限級数が発散するパターンが出たので、豆知識のようなものを紹介しようと思います( ̄∇ ̄)
lim[n→∞]( n∑k=1ak)が収束する⇨lim[n→∞]an=0
は成立しますが、
(もちろん、この対偶である、lim[n→∞]an≠0⇨lim[n→∞]( n∑k=1ak)が発散するも成立します)
lim[n→∞]an=0⇨lim[n→∞]( n∑k=1ak)が収束する
は成立しません。
上の命題の証明は簡単にできます。
Sn=n∑k=1ak とすると、lim[n→∞]( n∑k=1ak)が収束することから、lim[n→∞]Sn=α とかけます。
また、an=Sn −Sn −1 なので lim[n→∞]an=lim[n→∞](Sn −Sn −1)=α−α=0
これで証明ができました(´∀`)
また、下の命題が成立しない例としては、
例題2で挙げたような、an=1/(√n+√(n+1))の他、an=1/n のようなものもあります。
【説明】無限等比級数の計算の仕方について
先ほどまでは無限級数の説明をしていましたが、次は無限等比級数の説明をしていこうと思います( ̄∇ ̄)
無限級数も無限等比級数と考え方は同じです。
とりあえず、Σ計算(有限和)をして、最後に lim 計算をするだけです。
an=a x rn−1 とすると、n∑k=1(a x rn−1) の値は
- r≠1のとき a(1−rn)/1−r
- r=1 のとき na
(これは数ⅡBの知識があれば問題ないかと思います( ̄∇ ̄))
また、無限等比数列における収束条件(ここでは1−rnに注目しています)は、−1<公比≦1 または 初項=0です。
以上より、無限等比級数の収束条件は“−1<公比<1※1 または 初項=0”となります。
加えて、極限値(−1<公比<1のときの無限等比級数)は “a/1−r※2” になります。
※1 無限等比級数において、公比=1が収束条件に含まれない理由は、 lim[n→∞](na)=∞ になるからです。
※2 極限値=a/1−r になる理由は、−1<r<1 において lim[n→∞]rn=0 なので lim[n→∞](a(1−rn)/1−r)=a/1−r となるからです。
無限等比数列と無限等比級数の収束条件について説明したので、まとめておきます( ̄∇ ̄)
・【無限等比数列の収束条件】
−1<公比≦1 または 初項=0
・【無限等比級数の収束条件】 【無限級数の極限値】
①−1<公比<1 または 初項=0 ②初項/(1−公比)
【例題】無限等比級数の演習問題
最後に、無限等比級数に関する例題を何問か挙げておきます( ̄∇ ̄)
(解説)
今回の無限等比数列の公比は1/√3 , 初項は3 です。
したがって、−1<1/√3 <1 よりこの無限級数は収束し、その極限値は 3/1−(1/√3)=3√3(√3+1)/2
これが答えになります。
(解説)
今回の無限等比数列の公比は√2−1 , 初項は√2+1 です。
したがって、−1<√2−1<1 よりこの無限級数は収束し、その極限値は (√2+1)/1−(√2−1)=(4+3√2)/2
これが答えになります。
どうでしょうか( ̄∇ ̄)
少し慣れてきたでしょうか。
以上で、数列の収束・発散、無限等比数列、無限級数と無限等比級数についての説明は終わりです( ̄∇ ̄)
次の章からは、極限計算に入りたいと思います。
【基本公式】極限計算
極限計算といえば、不定形の解消が有名かと思いますが、まずは、不定形とは何かということを理解するために、極限計算における基本から説明していこうと思います( ̄▽ ̄)
収束する数列同士の極限計算について
ここでは、極限計算において根本となる公式を3つ挙げていきます(^O^)
数列{an},{bn}が共に収束するとき、
- lim[n→∞]an=α
- lim[n→∞]bn=β
とかけます。この条件下において、以下の3つの式が成り立ちます。
- lim[n→∞](kan + lbn)=k(lim[n→∞]an) + l(lim[n→∞]bn)=kα + lβ (k , l は実数)
- lim[n→∞](an bn)=(lim[n→∞]an)(lim[n→∞]bn)=αβ
- lim[n→∞](an / bn)=(lim[n→∞]an)/(lim[n→∞]bn)=α/β (ただしβ≠0)
【極限の演算】
この3つの公式を見て気づく人もいるかもしれませんが、極限の計算において、収束するものは普通に計算できる場合が多いです。
※収束しているのにも関わらず極限計算が普通にはできないのは、たいてい“0”に収束しているときです。
【まとめ表】不定形とその他の場合について
先ほどと同様、数列{an},{bn}を用いますが、ここでは、定数(0あるいは0以外)に収束する場合に加えて、∞,−∞に発散する場合も考えていきます。
それでは、表にまとめているので、和・差、積、商の順に書いていきます( ̄∇ ̄)
※1 α,β(>0)を用いています。
※2 極限計算においては、収束している定数の正負は重要でないので、定数α,β>0 として考えています。
和・差
bn/an | 0 | α | ∞ | −∞ |
0 | 0 | α | ∞ | −∞ |
β | β | α+β | ∞ | −∞ |
∞ | ∞ | ∞ | ∞ | |
−∞ | −∞ | −∞ | −∞ |
積
bn/an | 0 | α | ∞ | −∞ |
0 | 0 | 0 | ||
β | 0 | αβ | −∞ | ∞ |
∞ | ∞ | ∞ | −∞ | |
−∞ | −∞ | −∞ | ∞ |
商
bn/an | 0 | α | ∞ | −∞ |
0 | 0 | 0 | 0 | |
β | ±∞ | β/α | 0 | 0 |
∞ | ±∞ | ±∞ | ||
−∞ | ±∞ | ±∞ |
表にまとめると、以上のようになります。
極限の演算において、大切な考え方の1つとして、
- ∞:ものすごく大きい
- 0:ものすごく小さい
という考え方があります。
したがって、(定数)/ ∞ =0 , (定数)/ 0 =±∞ (n→∞) となります。
また、表においていくつか“
”と書いてある箇所がありますが、それが不定形になります。つまり、極限計算において、値がどうなるか分からない部分を不定形と呼んでいるわけです。
5パターンの不定形について
先ほどの表より、どの場合が不定形になるかは分かったと思います。
また、不定形については、5種類あるので、すべて覚えてしまいましょう!
【不定形ー5種類について】
・0/0
・∞/∞
・0 x ∞
・ ∞−∞
・(1±0)∞
極限計算に関する問題で、不定形を解消する際、どの不定形かを見極めることは非常に重要なステップになってきますので、繰り返すことにはなりますが、不定形はすべて、必ず覚えましょう!!
【まとめ表】極限計算(不定形の解消)
不定形には以下の5種類があることは前の章で説明したので、次に、それぞれの場合における処理の仕方について話していこうと思います。
①0/0
②∞/∞
③0 x ∞
④ ∞−∞
⑤(1±0)∞
この章の最後には、不定形の解消についてまとめた表も書いてありますので、是非是非使ってみてください(⌒▽⌒)
【①0/0】約分 or 極限公式で関数を外す
まずは、1番目の 0/0 からですが、不定形の中では少し難しいパターンになるかもしれません( i _ i )
ただ、難しいと言っても、やるべきことは決まっています。
- 約分する
- 極限公式で関数を外す
このいずれかの方法しかありません(´∀`)
約分する方は、単純に約分するだけなので、極限公式で関数を外す方をメインに解説していきます(^O^)
それでは、極限公式の証明から説明していきます( ̄∇ ̄)
【一覧表】極限公式(三角関数・指数・対数)
まずは、暗記しないといけない公式をあげておきます( ̄∀ ̄)
【極限公式】
・lim[x→0](sinx /x)=1
・lim[x→0](1−cosx /x2)=1/2
・lim[x→0](tanx/x)=1
※ x の単位は【rad】であり、【°】ではないことに注意してください
・lim[x→0](ex−1 /x)=1
・lim[x→0](log(1+x) /x)=1
(・e =lim[x→±∞](1+1/x)x (←e の定義式)
=lim[h→0](1+h)1/h)
いずれも、0/0の形である。また、関数の中身(三角関数であれば角度【rad】を指す)がそのまま分母に入るが、logの極限公式の時にのみ、(中身−1)が分母に入る。
必要な公式はざっとこんな感じです。
これらの公式はいずれもよく使うものなので、しっかりと覚えてしまいしょう!
【公式証明】極限公式(三角関数・指数・対数)
まずは、三角関数から証明していきますが、lim[x→0](sinx /x)=1 を証明できれば、残りの2つの公式も芋づる式に証明できます。
したがって、lim[x→0](sinx /x)=1 から証明していきます( ̄∇ ̄)
lim[x→0](sinx /x)=1 の証明
半径1 , 中心角 x[rad]のおうぎ形の面積を利用します。
そうすると上図より、面積を比べると
①1/2 sinx <1/2x <1/2tanx
となります。
今回の証明では、x→0 における状況を求めるので、中心角は限りなく小さいものとして考えて構いません。
また、x は限りなく0 に近づくが、0 にはならないため、①の各辺は正。
ゆえに、逆数を取ると、
①’ 1/tanx <1/x <1/sinx
加えて、sinx>0 より①’の式の各辺にsinx(>0) をかけると
cosx <sinx /x<1
となります。
ここまで来れば、あとは簡単ですね(^O^)
lim[x→0]cosx=lim[x→0](1)=1 なので、はさみうちの原理より
lim[x→0](sinx /x)=1
これで証明できました( ̄∇ ̄)
はさみうちの原理・追い出しの原理
はさみうちの原理を知らない人や忘れた人もいると思うので、はさみうちの原理について簡単に説明しておきます。
【はさみうちの原理】
f(x)<g(x)<h(x) のとき、lim[x→a]f(x)=lim[x→a]h(x)=α ならば lim[x→a]g(x)=α
これは x→∞ のときも同様に成り立ちます。つまり、
an<bn<cnのとき、lim[n→∞]an=lim[n→∞]cn=α ならば lim[n→∞]bn=α
※注意すべきこととしては、an<bn<cnであっても、lim[n→∞]an≦lim[n→∞]bn≦lim[n→∞]cn となることです。
ついでに、追い出しの原理も説明しておこうと思います( ̄∇ ̄)
【追い出しの原理】
・an<bnのとき、lim[n→∞]an=∞ ならば lim[n→∞]bn=∞
・an>bnのとき、lim[n→∞]bn=∞ ならば lim[n→∞]an=∞
どちらも頻出の定理なので、忘れていた人はこれを機会に覚えてしまいましょう!
lim[x→0](1−cosx /x2)=1/2 の証明
lim[x→0](sinx /x)=1 は証明されたので、これを使って証明していきます。
発想としては、1−cosx をなんとか f(x)sinx という形に変えたい、つまりは、因数分解したいという考え方で証明します。
したがって、半角の公式を使うことで因数分解できる形に直しましょう。
半角の公式は 1−cosx /2=sin2(x/2) なので、
1−cosx /x2=2sin2(x/2) /x2
あとは、lim[x→0](sinx /x)=1 を利用して、関数を外していきましょう(^O^)
lim[x→0](1−cosx /x2)=lim[x→0](2sin2(x/2) /x2)
=lim[x→0]1/2(sin(x /2)/(x/2))2
=1/2
(なぜなら、lim[x→0](sinx /x)=lim[x→0](sin(x/2) /(x/2))=1 だからです)
これで、関数を外すとはどういうことかわかった人も多いのではないでしょうか( ̄∇ ̄)
これと同様にして、lim[x→0](tan/x)=1 も証明していきます。
lim[x→0](tanx/x)=1 の証明
これも発想は同じです。
tanx/x をなんとかして、 f(x)sinx という形に変えたいという考え方をしましょう。
したがって、tanx=sinx /cosx を利用すると
tanx/x=(sinx /x) x (1/cosx) なので
lim[x→0](tanx/x)=lim[x→0]{(sinx /x) x (1/cosx)}=1 ※
(なぜなら、lim[x→0](sinx /x)=1 , lim[x→0](1/cosx)=1 だからです)
これで証明できました( ̄∇ ̄)
【極限計算における注意点】
※部分の式変形について注意点があるのですが、誤答例を下に示します。
lim[x→0](tanx/x)=lim[x→0]{(sinx /x) x (1/cosx)}=lim[x→0](sinx /x)=1
みなさん、この式変形のどこが間違っているのかを理解できますでしょうか?
これは数Ⅲを習いたての時期によくしてしまうミスなので、気をつけましょう!
具体的にいうと、極限計算において、一部だけ lim を飛ばすのは誤りです。
したがって、不定形にならない部分は、横にはけておくだけに留めておき、最後にまとめて lim を飛ばすよう心がけてください(^O^)
三角関数の極限公式は証明できたので、次は指数・対数の公式証明に移ろうと思います(°▽°)
lim[x→0](ex−1 /x)=1 の証明
この公式は証明する式というよりもむしろ、eの定義式のようなものなので、eの定義について説明します(^O^)
そこで、y=ax の微分を考えます。
微分の定義より、
(ax)’=lim[x→0](ax +h − ax /h)=lim[x→0]ax(ah − 1 /h)
これより、もしも、lim[x→0](ah − 1 /h)=α ならば
(ax)’=αax となり、微分しても形を変えないことになります。
そこで、lim[x→0](ah − 1 /h)=α=1 を満たす“便利な a” を定めようと考えます。
そういうわけで、lim[x→0](ah − 1 /h)=α=1 を満たす“便利な a”を e(=2.718,,,)と書き、自然対数の底と呼びます。
すなわち、lim[x→0](ex−1 /x)=1 が成立するというわけです。
どうでしょうか?一連の流れは理解できたでしょうか?
【数Ⅲにおける対数の底】
数ⅡBでは様々な底を利用していましたが、数Ⅲにおいて、底は主に e を用います。
したがって、底に e を省略して書くことが主流です。
つまり、loge2 とは書かず、log2 と書くことが多いです。
逆に、log3 と書いてあれば、それはloge3 を指します。
この記事でも、これ以降は e を省略した形で書いていきますので、混乱しないようにしてください(°▽°)
lim[x→0](log(1+x) /x)=1 の証明
この式も、先ほど説明した e の定義から派生したものです。
ですので、もう1度 e の定義を考えましょう( ̄∇ ̄)
lim[x→0](ex−1 /x)=1 が成立することから、y=ex の x=0 における接線の傾きは1 とわかります。
(微分のもつ意味そのものを利用しています)
ここで、y=x に関してy=ex と対称な関数、つまり、y=ex の逆関数を求めると、
x=ey ⇔ y=log x
ゆえに、y=log xの ※y=0 における接線の傾きも1 とわかります。
(なぜなら、y=ex と y=log x は y=x に関して対称かつ傾きが1の直線は y=x に関して対称に移動させても傾き1の直線になるからです)
※x=0 ではないことに注意
また、y=0 のときx=1 なので、微分の性質を利用とすると
lim[h→0]{(log(1+h) −log1)/h)}=1
ここで、log1=0 なので
lim[h→0](log(1+h) /h)=1
これで証明されました( ̄∇ ̄)
e =lim[x→±∞](1+1/x)x=lim[h→0](1+h)1/h の証明
この2式の証明は簡単です。
先ほど証明できた式を利用すると、対数の性質より
lim[h→0](log(1+h) /h)=1 ⇔ lim[h→0](log(1+h) 1/h)=1
(なぜなら、r logM=logMr だからです)
また、※y=logx は連続なので log と lim は交換可能。
以上より、
lim[h→0](log(1+h) 1/h)=1 ⇔ log (lim[h→0](1+h) 1/h)=1
すなわち、
lim[h→0](1+h) 1/h= e
となり、証明されました(^O^)
また、h=1/t とすると、h→0 のとき t→∞ なので
lim[h→0](1+h) 1/h= e ⇔lim[t→∞](1+1/t)t = e
これにより、もう1式も証明されました。
少し難しい証明になりますが、よく使う公式なので、証明を覚えておくのもいいかもしれません(´∀`)
※ log と lim が交換可能なのはなぜかについて
証明する際には、“logは連続なので”という一言を添えておけば減点されることはありませんが、どういう意味か気になる人に向けて解説していこうと思います。
(受験にはほとんど関係ない話なので、興味がない人は次の例題のところへスキップしてください(^O^))
それでは始めますが、まずは、連続性の定義より
f(x) が x=a で連続である ⇔ lim[x→a]f(x)=f(a) ー①
また、当然ですが、
lim[x→a]x=a となります。
ゆえに、①の式の右辺の a を書き換えると
lim[x→a]f(x)=f(a) ⇔ lim[x→a]f(x)=f(lim[x→a]x)
となります。これでlog と lim が交換可能な理由についてはわかったかと思います。
キーになるのは連続性だということさえ覚えておけば十分です(°▽°)
もう少し詳しく知りたいという人はこの記事を読んでみてください( ̄∇ ̄)
https://mathlandscape.com/limit-int/
【例題】約分する or 極限公式で関数を外す
これは約分するタイプの問題ですね( ̄∇ ̄)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→1](x2−x)=0 , lim[x→1](x2−1)=0 なので、0/0 の形だとわかります。
そうすれば、約分するか極限公式を使って関数を外すかのどちらかですが、これはどう見ても約分する方でいいでしょう( ̄∀ ̄)
(そもそも極限公式が使えないですしね(´∀`))
したがって、約分したいので、因数分解すると、
(分母)=x2−1=(x +1)(x−1) , (分子)= x2−x = x(x−1) なので、
lim[x→1][(x2−x)/(x2−1)]=lim[x→1][x/(x +1)]= 1/2
これが答えになります。
これは比較的簡単な問題ですので、解けた人も多いのではないでしょうか。
これも約分するタイプですね(´∀`)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→2](x3−3x−2)=0 , lim[x→1](x2−3x+2)=0 なので、0/0 の形だとわかります。
そうすれば、約分するか極限公式を使って関数を外すかのどちらかですが、これも約分する方でいいでしょう( ̄∀ ̄)
(この問題も極限公式が使えないですしね(´∀`))
したがって、約分したいので、因数分解すると、
(分母)= x2−3x+2=(x −1)(x−2) , (分子)= x3−3x−2 = (x−2)(x2+2x+1) なので、
lim[x→2][(x3−3x−2)/(x2−3x+2)]=lim[x→2][(x2+2x+1)/(x −1)]= 9
これが答えになります。
これで 0/0 のうち、約分するタイプの問題は問題ないでしょうか(^O^)
これは極限公式で関数を外すタイプの問題ですね( ̄∇ ̄)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→0](sin3x)=0 , lim[x→0](2x)=0 なので、0/0 の形だとわかります。
そうすれば、約分するか極限公式を使って関数を外すかのどちらかですが、これは極限公式で関数を外す方でいいでしょう( ̄∀ ̄)
(到底、約分できなさそうですしね(´∀`))
したがって、極限公式を利用するために無理やり式変形すると、分母が 3x であれば嬉しいので、
lim[x→0]=(sin3x/2x)=lim[x→0][(sin3x/3x) x (3x/2x)]=3/2
(なぜなら、極限公式より lim[x→0](sin3x/3x)=1 だからです)
これが答えになります。
どうでしょうか?
今回の問題では極限公式を用いて、sin を“外しました”が、これで関数を外すとはどういう意味かわかったでしょうか(^O^)
これも極限公式で関数を外すタイプの問題ですね( ̄∇ ̄)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→0](sin4x)=0 , lim[x→0](tan(sin2x)=0 なので、0/0 の形だとわかります。
そうすれば、約分するか極限公式を使って関数を外すかのどちらかですが、これも極限公式で関数を外す方でいいでしょう( ̄∀ ̄)
(到底、約分できなさそうですしね(´∀`))
したがって、極限公式を利用するために無理やり式変形していきますが、ここではまず sin を外して、その後に tan を外す方法で解こうと思います。
lim[x→0]=(sin4x/tan(sin2x))=lim[x→0][(sin4x/4x) x 4x/tan(sin2x)]
これでまずは sin が外れたので、次は tan を外します。
lim[x→0][(sin4x/4x) x 4x/tan(sin2x)]=lim[x→0][(sin4x/4x) x (sin2x/tan(sin2x)) x (4x/sin2x)]
最後に、新たに出てきたsin を外して答えです( ̄∇ ̄)
lim[x→0][(sin4x/4x) x (sin2x/tan(sin2x)) x (4x/sin2x)]=lim[x→0][(sin4x/4x) x (sin2x/tan(sin2x)) x (2x/sin2x) x (4x/2x)]=2
(なぜなら、極限公式より lim[x→0](sin4x/4x)=1 , lim[x→0](sin2x/tan(sin2x))=1 , lim[x→0](2x/sin2x)=1 だからです)
これが答えになります。
少しずつ要領をつかめてきたのではないでしょうか(^O^)
これも極限公式で関数を外すタイプの問題ですね( ̄∇ ̄)
ただ少し毛色が違うことには気づけましたでしょうか(´∀`)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→π/2](cos x)=0 , lim[x→π/2](x−π/2)=0 なので、0/0 の形だとわかります。
そうすれば、約分するか極限公式を使って関数を外すかのどちらかですが、これも極限公式で関数を外す方でいいでしょう( ̄∀ ̄)
(到底、約分できなさそうですしね(´∀`))
したがって、極限公式を利用するために無理やり式変形していきますが、注意点があります。
【極限公式を使う際の注意点】
極限公式を思い浮かべて貰えば気づくかと思いますが、極限公式は基本的に中身が 0 に収束します。
例えばですが、sin の極限公式であれば、sin の角度である x は x→0 となります。
したがって、極限公式を使う際には、中身が 0 になるように置き換えするとスムーズに計算することができます(^O^)
この注意点を踏まえると、今回“中身”はπ/2に収束するので、t=x−π/2 と置き換えて中身を 0 に収束させましょう。
すると、x=t +π/2 , x→π/2 のとき t→0 なので
lim[x→π/2](cos x/x−π/2 )=lim[t→0](cos (t +π/2)/t )
また、位相ずれより、cos (t +π/2)=−sint なので
lim[x→π/2](cos x/x−π/2 )=lim[t→0](−sint/t )=−1
(なぜなら、極限公式よりlim[t→0](sint/t )=1 だからです)
これが答えになります。
この問題で覚えておいてほしいことは、極限公式を使う際は中身を 0 に収束させることが重要ということです( ̄∇ ̄)
これも極限公式で関数を外すタイプの問題ですね( ̄∇ ̄)
ただ、難易度は少し高めの問題になるので、これが解ければ0/0 の形はもう怖くありません( ̄∇ ̄)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→0](ex−cos x)=0 , lim[x→0](log(1+sin x))=0 なので、0/0 の形だとわかります。
そうすれば、約分するか極限公式を使って関数を外すかのどちらかですが、これも極限公式で関数を外す方でいいでしょう( ̄∀ ̄)
(到底、約分できなさそうですしね(´∀`))
したがって、極限公式を利用するために無理やり式変形していきますが、このままでは極限公式が使えません。
なぜなら、ex , cos の極限公式はいずれも −1 を伴う形をしているからです。
したがって、無理やり −1 を伴う形を作り出しましょう(´∀`)
lim[x→0](ex−cos x/log(1+sin x)) =lim[x→0](ex−1−(cos x−1)/log(1+sin x))
ここまで来れば解けるのではないでしょうか(^O^)
log から順に極限公式を使って関数を外していけば問題ありません。
すると、
lim[x→0](ex−1−(cos x−1)/log(1+sin x)) =lim[x→0](sin x/log(1+sin x) x (x/sin x) x [((ex−1)/x))+ x((1−cos x)/x2)]=1
(なぜなら、lim[x→0](sin x/log(1+sin x))=1 , lim[x→0](x/sin x)=1 , lim[x→0](ex−1)/x)=1 , lim[x→0](1−cos x)/x2)=1/2 より、lim[x→0]x((1−cos x)/x2)=0 だからです)
これは式変形が少し特殊な上、極限公式で関数を外す工程も多いので、レベルが高めな問題かと思います。
解けなかった人も、復習して仕上げてしまいましょう!
これで 0/0 については終わりです( ̄∇ ̄)
【②∞/∞】最速パートのみを見て、分母の最速パートで割る
次に、∞/∞ についてですが、このパターンはかなり簡単です。
というのも、やることとしては、
- 最速パートだけに注目し、分母の最速パートで分母・分子を割る
これだけだからです( ̄∇ ̄)
したがって、極限値の種類としては、
【∞/∞の不定形】
・分子の方が発散速度が速い ⇨ ±∞ に発散
・分母の方が発散速度が速い ⇨ 0 に収束
・分母・分子の発散速度が同じ⇨ 0以外の値に収束
だいたい、なぜそうなるかは理解できると思いますが、発散速度が何かということについては知らない人も多いと思いますので、次は発散速度について説明します( ̄▽ ̄)
様々な関数における発散速度について
∞/∞ という不定形の解消においては、発散速度の最も速いもの(=最速パート)のみを見ればいいと言いましたが、それでは発散速度とは何でしょうか?
大雑把にいうと、xy 座標において、傾きが急であればあるほど発散速度は速いと言えます。
逆に、xy 座標において、傾きが緩やかであればあるほど発散速度は遅いと言えることになります。
こんな感じのイメージを持っておけば十分です
それでは、具体的な関数の発散速度について話していこうと思います。
高校数学で扱う、初等関数としては、nr(多項式), logan(対数), an(指数) の3つが挙げられます。
【様々な関数の発散速度】
グラフを想像すれば、予想はつくかと思いますが、発散速度の遅い方から順に、
logan(対数)<< nr(多項式)<< an(指数)
となります。また、同じ関数内においても発散速度に違いがあります。
【同じ関数同士の発散速度】
これに関しても、グラフを想像すれば予想できるかと思いますが、
・logan(対数)⇨発散速度はすべて同じ※(ex. log2nとlog3nの発散速度は等しい)
・nr(多項式) ⇨次数(=r)が高いほど発散速度は速い (ex. n3はn2より発散速度が速い)
・an(指数) ⇨底(=a)が大きいほど発散速度は速い (ex. 3nは2nより発散速度が速い)
※logan(対数)の発散速度がすべて同じ理由については、もし底が変わったとしても、
logbn = logan x 1/logab (底の変換公式より)となり、logab は定数なのでlogbn の発散速度はlogan に等しいことがわかります。
【例題】分子・分母の最速パートのみ比較する
この問題は、多項式に関する問題ですね( ̄∇ ̄)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[n→∞](3n2+4n+6)=∞ , lim[n→∞](n2+3) =∞ なので、∞/∞ の形だとわかります。
次に、∞/∞ だと分かったので、分母の最速パートで分子・分母を割りましょう。
分母の最速パートは n2 なので、分子・分母をn2 で割ると、
an=(3n2+4n+6)/(n2+3)=(3+4/n+6/n2)/(1+3/n2)
したがって、
lim[n→∞]an=lim[n→∞](3+4/n+6/n2)/(1+3/n2)=3
(なぜなら、lim[n→∞](4/n)=lim[n→∞](6/n2)=lim[n→∞](3/n2)=0 となるからです)
これが答えになります。
不定形の中では、かなり簡単な問題かと思います(°▽°)
この問題は指数に関する問題ですので、“an(指数)⇨底(=a)が高いほど発散速度は速い”ということが重要になります。
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[n→∞](3n)=∞ , lim[n→∞](2n+5n) =∞ なので、∞/∞ の形だとわかります。
次に、∞/∞ だと分かったので、分母の最速パートで分子・分母を割りましょう。
分母の最速パートは 5n なので、分子・分母を 5n で割ると、
an=3n/(2n+5n)=(3/5)n/((2/5)n+1)
したがって、
lim[n→∞]an=lim[n→∞](3/5)n/((2/5)n+1)=0
(なぜなら、lim[n→∞](3/5)n=lim[n→∞](2/5)n=0 となるからです)
これが答えになります。
どうでしょうか?
少し慣れてきたでしょうか?
この問題は様々な関数が入り混じっていますね( ̄∇ ̄)
したがって、“様々な関数の発散速度の違い”と“同じ関数同士の発散速度の違い”の両方を考える必要があります。
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[n→∞](n2+5n+log10n)=∞ , lim[n→∞](2n+3n) =∞ なので、∞/∞ の形だとわかります。
次に、∞/∞ だと分かったので、分母の最速パートで分子・分母を割りましょう。
分母の最速パートは 3n なので、分子・分母を 3n で割ると、
an=(n2+5n+log10n)/(2n+3n)={(n2/3n)+(5/3)n+(log10n/3n)}/((2/3)n+1)
したがって、
lim[n→∞]an=lim[n→∞]【{(n2/3n)+(5/3)n+(log10n/3n)}/((2/3)n+1)】=∞
(なぜなら、lim[n→∞](n2/3n)=lim[n→∞](log10n/3n)=lim[n→∞](2/3)n=0 , lim[n→∞](5/3)n=∞ となるからです)
これが答えになります。
発散速度についてきちんと理解していれば、問題なく解けるかと思います( ̄∇ ̄)
【おまけ】答えを求めるのみであれば、最速パートのみで十分
これまでは例題にも書いていた通り、分母の最速パートで分子・分母を割るという解法を紹介してきました。
しかし、この解法はあくまで答案を作る上で必要なものであり、答えを求めるだけであれば“最速パート”を見るだけで構いません。
具体的に説明するために、先ほど使った問題と全く同じ問題を使っていきます( ̄∇ ̄)
(答えの数値のみ)
分母・分子の最速パートはそれぞれ n2, 3n2 なので
lim[n→∞]an=lim[n→∞](3n2/n2)=3
となります。実際に答えの数値は一致しています(´∀`)
したがって、見直しをする際などはぜひこの方法で解いてみてください!
(答えの数値のみ)
分母・分子の最速パートはそれぞれ 5n, 3nなので
lim[n→∞]an=lim[n→∞](3/5)n=0
これも答えの数値はしっかりと一致しています。
最後にもう1問残っているので、練習してみましょう!
(答えの数値のみ)
分母・分子の最速パートはそれぞれ 3n, 5nなので
lim[n→∞]an=lim[n→∞](5/3)n=∞
これも合っています。
こんな感じで、答えの数値のみであればすぐ出てくるので、マスターしておきましょう!
【③0 x ∞】
次は3番目の 0 x ∞ についてです。
このパターンも基本的には比較的簡単ですので、マスターしてしまいましょう( ̄∇ ̄)
(極限公式を使うパターンの問題は少し厄介ですが、、、( i _ i ))
やることは簡単です。
そのままの形では扱いきれないので、置き換えをして、0/0 または ∞/∞ の形に直してしまいましょう(°▽°)
つまりは、0→(1/∞ ) または ∞→(1/0) として不定形の形を変えてしまいましょう。
次に、置き換えをしてもうまくいかない場合は極限公式の利用を考えましょう。
0 x ∞ の 0 の方の関数を極限公式で外して、不定形を解消するというわけです。
例題を解いてみた方が分かりやすいと思うので、例題を何問か挙げておきます。
【例題】 極限公式で0の方の関数を外す or 置き換えをして、0/0 または ∞/∞ の形に直す
t=−x と置き換えをすることで、t→∞ と考えやすくしましょう!
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→−∞] x2=∞ , lim[x→−∞] ex=0 なので、0 x ∞ の形だとわかります。
0 x ∞ の形だとわかれば置き換えをして、0/0 または ∞/∞ の形に直しましょう。
そもそもですが、不定形の計算において −∞ は扱い慣れていないので、∞ に直して計算しましょう。
したがって、t=−x の置き換えをすると、
lim[x→−∞] x2ex = lim[t→∞] t2/ex
となります。
(なぜなら、ex = e−t = 1/ex となるからです)
この置き換えをすると、不定形の形は ∞/∞ となりますので、あとは簡単です。
復習になりますが、∞/∞ は最速パートのみを比較すればいいので、発散速度を比較しましょう。
t2は多項式、exは指数なので、exの方が発散速度が速いことがわかります。
分母に発散速度の速い関数が入っているので、極限値は 0 に収束します。
以上より、
lim[x→−∞] x2ex = lim[t→∞] t2/ex =0
これが答えになります。
おおよその要領はつかめたでしょうか?
t=1/x と置き換えをすることで不定形の形を変えてしまいましょう。
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→+0] x=0 , lim[x→+0] logx=−∞ なので、0 x ∞ の形だとわかります。
0 x ∞ の形だとわかれば置き換えをして、0/0 または ∞/∞ の形に直しましょう。
そこで、この問題では、t=1/x の置き換えをしてみると、
lim[x→+0] xlogx = lim[t→∞] −logt/t
となります。
(なぜなら、 logx = log(1/t) = −logtとなるからです)
この置き換えをすると、不定形の形は ∞/∞ となりますので、あとは簡単です。
もう一度復習になりますが、∞/∞ は最速パートのみを比較すればいいので、発散速度を比較しましょう。
tは多項式、logtは対数なので、tの方が発散速度が速いことがわかります。
分母に発散速度の速い関数が入っているので、極限値は 0 に収束します。
以上より、
lim[x→+0] xlogx = lim[t→∞] −logt/t = (−)0
これが答えになります。
これは置き換えてもうまくいきませんので、極限公式で関数を外しましょう。
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→∞] x=∞ , lim[x→∞] 1−e2/x=0 なので、0 x ∞ の形だとわかります。
0 x ∞ の形だとわかれば置き換えをして、0/0 または ∞/∞ の形に直しましょう。
ただし、この問題は置き換えをしても、なかなかうまくいきません。
そこでもう1つの方法を考えます。
もう1つの方法とは、0 x ∞ の 0 の方の関数を極限公式で外す方法です。
今回の問題では、lim[x→∞] 1−e2/x=0 なので、1−e2/x の関数を外す方針で考えていきましょう。
すると、e の極限公式を用いて、
lim[x→∞] x(1−e2/x)= lim[x→∞] (1−e2/x)/(2/x) x (2/x) x (x)=−2
これが答えになります。
まだ極限計算に慣れていなければ、極限公式が使いやすい形に置き換えをして解いてみましょう。
具体的には、t=2/x と置き換えると、x→∞ のとき t→0 となるので、x=2/t より
lim[x→∞] x(1−e2/x)= lim[t→0] (2/t) x (1−et)=lim[t→0] (−2) x (et−1)/t=−2
この解き方の方が丁寧でいいようにも感じられますね^o^
これで 0 x ∞ の中でも極限公式を使うパターンも押さえられたかと思います( ̄∇ ̄)
これで0 x ∞ については終わりです(^O^)
【④ ∞−∞】最速パートでくくる or 有理化する
次は4番目の ∞−∞ についてです。
これは2番目の ∞/∞ の場合と同じく、やることが決まっているため、不定形の中では簡単なパターンになります( ̄∇ ̄)
というのも、考え方としては、
- ∞ と −∞ の発散速度が違うのなら速い方が勝つ ⇨ 最速パートでくくる
- ∞ と −∞ の発散速度が同じなら多くの場合は収束する ⇨ 有理化する
これだけです。
根本的な考え方としては、 ∞/∞ の場合と同じく、最速パートだけに注目すれば問題ありません( ̄▽ ̄)
※発散速度については、【②∞/∞】最速パートのみを見て、分母の最速パートで割るで説明したので、分からない人はそちらを見てみてください( ̄∇ ̄)
[復習]
【様々な関数の発散速度】
グラフを想像すれば、予想はつくかと思いますが、発散速度の遅い方から順に、
logan(対数)<< nr(多項式)<< an(指数)
となります。また、同じ関数内においても発散速度に違いがあります。
【同じ関数同士の発散速度】
これに関しても、グラフを想像すれば予想できるかと思いますが、
・logan(対数)⇨発散速度はすべて同じ※(ex. log2nとlog3nの発散速度は等しい)
・nr(多項式) ⇨次数(=r)が高いほど発散速度は速い (ex. n3はn2より発散速度が速い)
・an(指数) ⇨底(=a)が大きいほど発散速度は速い (ex. 3nは2nより発散速度が速い)
※logan(対数)の発散速度がすべて同じ理由については、もし底が変わったとしても、
logbn = logan x 1/logab (底の変換公式より)となり、logab は定数なのでlogbn の発散速度はlogan に等しいことがわかります。
【例題】最速パートでくくる or 有理化する
これは ∞ と −∞ の発散速度が違うパターンですので、最速パートでくくれば問題ないですね(´∀`)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[n→∞](n2)=∞ , lim[n→∞](−n) =−∞ なので、∞−∞ の形だとわかります。
また、多項式においては次数が高い方が発散速度が速いので、n2 が最速パートだとわかります。
次に、∞−∞ の中でも、∞ と −∞ の発散速度が違うパターンだと分かったので、最速パートでくくりましょう。
最速パートは n2 なので、
an= n2−n= n2(1−1/n)
したがって、
lim[n→∞]an=lim[n→∞]n2(1−1/n)=∞
(なぜなら、lim[n→∞](−1/n)=0 となるからです)
これが答えになります。
どうでしょうか(´∀`)
やっていることは ∞/∞ の場合とほとんど変わらないので、難しくはないのではないでしょうか。
これは ∞ と −∞ の発散速度が同じパターンですので、有理化すれば問題ないですね(´∀`)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[n→∞](√(n2+1))=∞ , lim[n→∞](−n) =−∞ なので、∞−∞ の形だとわかります。
また、多項式においては次数が同じであれば発散速度も同じなので、√(n2+1) , −n は発散速度が同じだとわかります。
(√(n2+1) , −n はいずれも n の1次式だからです)
次に、∞−∞ の中でも、∞ と −∞ の発散速度が同じパターンだと分かったので、有理化しましょう。
an を有理化すると、
an= √(n2+1)−n= 1 /(√(n2+1)+n)
したがって、
lim[n→∞]an=lim[n→∞]1 /(√(n2+1)+n)=0
(なぜなら、lim[n→∞](√(n2+1)+n)=∞ となるからです)
これが答えになります。
これで、∞−∞ の中でも、∞ と −∞ の発散速度が同じパターンもマスターできたでしょうか(^O^)
これも簡単ですね。
発散速度は速い方から順に、指数>>多項式>>対数であることを覚えていれば、この問題は∞ と −∞ の発散速度が違うパターンだと分かるでしょう!
したがって、最速パートでくくれば問題ないですね(´∀`)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[n→∞](5n)=∞ , lim[n→∞](−3n−n3−log2n) =−∞ なので、∞−∞ の形だとわかります。
また、指数>>多項式>>対数の順に発散速度が速く、指数においては底が大きいほど発散速度が速いことから、5n が最速パートだとわかります。
次に、∞−∞ の中でも、∞ と −∞ の発散速度が違うパターンだと分かったので、最速パートでくくりましょう。
最速パートは 5n なので、
an= 5n−3n−n3−log2n= 5n(1−(3/5)n−(n3/5n)−(log2n/5n))
したがって、
lim[n→∞]an=lim[n→∞]{5n(1−(3/5)n−(n3/5n)−(log2n/5n))}=∞
(なぜなら、lim[n→∞]−(3/5)n=lim[n→∞]−(n3/5n)=lim[n→∞]−(log2n/5n)=0 となるからです)
これが答えになります。
∞−∞ のパターンは ∞/∞ の場合と同じく、解法が簡単なので、しっかりとマスターしてしまいましょう(´∀`)
【⑤(1±0)∞】
これで 0 x ∞ の中でも極限公式を使うパターンも押さえられたかと思います( ̄∇ ̄)
最後は (1±0)∞ のパターンです。
これもやるべきことは決まっているので、比較的簡単かと思います。
e の定義式を利用する or log をとるだけです。
復習のため、e の定義式について書いておきますが、e の定義式とは
e=lim[x→±∞](1+1/x)x
=lim[h→0](1+h)1/h
【e の定義式】
e の定義式における注意点としては、1+ より後ろの変数の逆数が指数になるということです。
具体的にいうと、e=lim[x→±∞](1+1/x)x においては、x の逆数の1/x が指数になっていますし、
e=lim[h→0](1+h)1/h においては、h の逆数の1/h が指数になっています。
ここにさえ注意できれば問題ないので、しっかり頭に入れておきましょう!
これも実際に解いてみた方が理解しやすいと思うので、例題を何問か挙げておきます( ̄∇ ̄)
これは e の定義式を利用する典型的な問題ですね(´∀`)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→0] (3x)=0 , lim[x→0](1/x)=∞ なので、 (1±0)∞ のパターンだとわかります。
また、この問題の不定形はそのまま e の定義式になっているので、log をとる必要はありません。
したがって、e の定義式が利用できるように変形すると、
lim[x→0] (1−3x)1/x=lim[x→0] [(1−3x)1/−3x]−3 = e−3
これが答えになります。
(なぜなら、指数演算の法則から、Mab=(Ma)b が成り立つからです)
ある程度は理解できたでしょうか(^O^)
これも e の定義式を利用する典型的な問題ですね(´∀`)
(解説)
まずは不定形の確認ですが、
lim[x→0] (2x)=0 , lim[x→0](3/x)=∞ なので、 (1±0)∞ のパターンだとわかります。
また、この問題の不定形はそのまま e の定義式になっているので、log をとる必要はありません。
したがって、e の定義式が利用できるように変形すると、
lim[x→0] (1+2x)3/x=lim[x→0] [(1+2x)1/2x]6 = e6
これが答えになります。
(なぜなら、指数演算の法則から、Mab=(Ma)b が成り立つからです)
これで不定形はすべて終わりました( ̄∇ ̄)
【表】パターン別ー不定形の解消法について
ここまでは不定形のパターン別の解説をしてきたので、最後に復習用として、まとめ表を書いておきます。
忘れた際には、ここに戻ってきてもう一度思い出しましょう( ̄∇ ̄)
【不定形の解消法】
①0/0 約分する or 極限公式で関数を外す
②∞−∞ 最速パートでくくる or 有理化
③0×∞ 極限公式で0の方の関数を外す or 置き換えをして∞/∞ or 0/0 にする
④∞/∞ 分子・分母の最速パートのみで比較
⑤(1+0)∞ e の定義式 or log をとる
ざっとこんな感じです。
最後に、この記事全体のポイントをまとめたので、ざっと復習してみてください。
まとめ
【無限等比数列の収束条件】
これより、無限等比数列の収束条件は、公比をr, 初項をa0とすると
・−1<r≦1 または ・a0=0
となります。
※特に a0=0 の方を忘れがちなので、気をつけましょう!
【無限等比数列の収束と無限等比級数の収束の関係】
せっかく、無限級数が発散するパターンが出たので、豆知識のようなものを紹介しようと思います( ̄∇ ̄)
lim[n→∞]( n∑k=1ak)が収束する⇨lim[n→∞]an=0
は成立しますが、
(もちろん、この対偶である、lim[n→∞]an≠0⇨lim[n→∞]( n∑k=1ak)が発散するも成立します)
lim[n→∞]an=0⇨lim[n→∞]( n∑k=1ak)が収束する
は成立しません。
上の命題の証明は簡単にできます。
Sn=n∑k=1ak とすると、lim[n→∞]( n∑k=1ak)が収束することから、lim[n→∞]Sn=α とかけます。
また、an=Sn −Sn −1 なので lim[n→∞]an=lim[n→∞](Sn −Sn −1)=α−α=0
これで証明ができました(´∀`)
また、下の命題が成立しない例としては、
例題2で挙げたような、an=1/(√n+√(n+1))の他、an=1/n のようなものもあります。
無限等比数列と無限等比級数の収束条件について説明したので、まとめておきます( ̄∇ ̄)
・【無限等比数列の収束条件】
−1<公比≦1 または 初項=0
・【無限等比級数の収束条件】 【無限級数の極限値】
①−1<公比<1 または 初項=0 ②初項/(1−公比)
【不定形ー5種類について】
・0/0 約分する or 極限公式で関数を外す
・∞/∞ 最速パートでくくる or 有理化
・0 x ∞ 極限公式で0の方の関数を外す or 置き換えをして∞/∞ or 0/0 にする
・ ∞−∞ 分子・分母の最速パートのみで比較
・(1±0)∞ e の定義式 or log をとる
【極限公式】
・lim[x→0](sinx /x)=1
・lim[x→0](1−cosx /x2)=1/2
・lim[x→0](tanx/x)=1
※ x の単位は【rad】であり、【°】ではないことに注意してください
・lim[x→0](ex−1 /x)=1
・lim[x→0](log(1+x) /x)=1
(・e =lim[x→±∞](1+1/x)x (←e の定義式)
=lim[h→0](1+h)1/h)
いずれも、0/0の形である。また、関数の中身(三角関数であれば角度【rad】を指す)がそのまま分母に入るが、logの極限公式の時にのみ、(中身−1)が分母に入る。
【はさみうちの原理】
f(x)<g(x)<h(x) のとき、lim[x→a]f(x)=lim[x→a]h(x)=α ならば lim[x→a]g(x)=α
これは x→∞ のときも同様に成り立ちます。つまり、
an<bn<cnのとき、lim[n→∞]an=lim[n→∞]cn=α ならば lim[n→∞]bn=α
※注意すべきこととしては、an<bn<cnであっても、lim[n→∞]an≦lim[n→∞]bn≦lim[n→∞]cn となることです。
【追い出しの原理】
・an<bnのとき、lim[n→∞]an=∞ ならば lim[n→∞]bn=∞
・an>bnのとき、lim[n→∞]bn=∞ ならば lim[n→∞]an=∞
【数Ⅲにおける対数の底】
数Ⅲにおいて、対数の底は主に e を用います。
したがって、底の e を省略して書くことが主流です。
つまり、loge2 とは書かず、log2 と書くことが多いです。
逆に、log3 と書いてあれば、それはloge3 を指します。
【極限公式を使う際の注意点】
極限公式を思い浮かべて貰えば気づくかと思いますが、極限公式は基本的に中身が 0 に収束します。
例えばですが、sin の極限公式であれば、sin の角度である x は x→0 となります。
したがって、極限公式を使う際には、中身が 0 になるように置き換えするとスムーズに計算することができます(^O^)
【様々な関数の発散速度】
グラフを想像すれば、予想はつくかと思いますが、発散速度の遅い方から順に、
logan(対数)<< nr(多項式)<< an(指数)
となります。また、同じ関数内においても発散速度に違いがあります。
【同じ関数同士の発散速度】
これに関しても、グラフを想像すれば予想できるかと思いますが、
・logan(対数)⇨発散速度はすべて同じ※(ex. log2nとlog3nの発散速度は等しい)
・nr(多項式) ⇨次数(=r)が高いほど発散速度は速い (ex. n3はn2より発散速度が速い)
・an(指数) ⇨底(=a)が大きいほど発散速度は速い (ex. 3nは2nより発散速度が速い)
※logan(対数)の発散速度がすべて同じ理由については、もし底が変わったとしても、
logbn = logan x 1/logab (底の変換公式より)となり、logab は定数なのでlogbn の発散速度はlogan に等しいことがわかります。
以上で今回の記事は終わろうと思います。
この記事では、数列の収束・発散、無限等比数列、無限級数、無限等比級数、極限計算(不定形の解消)について説明しました。
これらはいずれも、数Ⅲの基礎となる分野です。
この記事でしっかりと基礎を固めて、数Ⅲの醍醐味である“微分・積分”に挑んでください!
それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました(°▽°)
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