こんにちは。クリリンです。
数学や物理、あるいは化学といった理系科目において重宝される”解法暗記”。
大学受験の勉強において非常に重要であることは間違いありませんが、そこには注意すべきポイントがあります。
今回は、解法暗記だけでは問題が解けない理由と、実際に問題を解けるようにするためにはどうすれば良いのかをお話ししていきます。
解法暗記(暗記数学)とは
“数学は暗記か否か”
というのはよくネット上でも議論されています。
それもそのはず、そもそも“暗記”の定義が人によって異なってくるため、この議論に決着がつくことはありません。
そこで、ここでは解法暗記(暗記数学)を以下のように定義されていることを確認します。
暗記数学(あんきすうがく)とは、実際の入試問題を解くにあたってまず必要な解法パターンを理解・暗記し、既知の解法を組み合わせることによって問題を解く、数学の勉強法のことである。
Wikipedia『暗記数学』
もともと、「暗記数学」というのは、受験アドバイザー和田秀樹氏の提唱した数学の勉強法です。
和田秀樹氏は、難関校の灘中学校・高等学校へ進学しましたが、在学中の不勉強により落ちこぼれてしまい、同級生の優等生集団と大きな差が開いてしまいました。
そんな状況下で優等生集団に追いつき、膨大な範囲に及ぶ定期テストをこなすため、試験範囲をまとめたノートのコピーを丸暗記することで飛躍的に成績を伸ばし、最終的には東大理Ⅲに合格するまでに至りました。
以後、試行錯誤の結果編み出された数学の勉強法が「暗記数学」なのです。
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そもそも、解法暗記無しで問題を解くのは、料理レシピなしで料理を作るようなもの。
「基本的な解法を身につけてから問題を解く」というのは非常に合理的な考え方と言えます。
解法暗記の本質:「理解型暗記」
「理系科目は”解法暗記”が鉄則だ」という話を聞いて、多くの生徒は『チャート式』などの網羅系参考書を開き、解法を一つひとつ頭の中に入れていっていると思われます。
ただし、ここでポイントになるのは理系科目の暗記は「理解型暗記」であるということ。
和田秀樹氏によれば、年号や英単語の暗記とは異なり、理系科目の暗記は「解法を“理解して”覚えること」だとしており、「何故そのような解法に至るのか」が理解出来なければ、解法暗記は成り立たないと話しています。
かなり基本的な例で言えば、「二次方程式の解の公式」は暗記している人が多いだろうと思いますが、その公式を導ける人はどのくらいいますでしょうか。
少しレベルを上げた例だと、「積分すれば面積・体積が求まるのは何故か」を説明できる受験生などほとんどいないと思われます。
正直、ここまでのことは”理解”せずともある程度の問題は解けてしまいます。
しかし、少し応用されてしまえば全く歯が立たなくなる。試験ではその甘さを突いてきます。
そのため、解法はとことん掘り下げて「何故そのような解法に至るのか」まで理解してあげる必要がある。
これが”解法暗記”の本質であり、理系科目の大前提条件であることを忘れないでください。
解法暗記だけでは解法は使いこなせない
人間の脳は難しいもので、「解法を理解して覚えること」と「解法を使いこなすこと」は全くの別物です。
何故なら、”解法”を使いこなすためには、暗記した膨大量の”解法”が、頭の中で整理されていなければならないから。
例えば、
「『チャート式』を見ながらでいいので、東大数学で満点を取ってください。」
と言われて、出来るでしょうか。出来ません。
たしかに、問題を解くために解法が頭の中に入っていることは最低条件として必要ですが、皆さんご存知の通り、解法をインプット出来たところで、アウトプットが出来なければ問題は解けるようにはならないのです。
もっと言えば、「何故そのような解法に至るのか」まで理解しているにもかかわらず、何故か手が動かないなんてことだってあるでしょう。
早い話、「覚えるだけではダメ」ということは改めて弁えておく必要があるということです。
解法暗記の方法:解法を使いこなすために
数学が得意な人の頭の中を言語化するとすれば、
「解法が全て頭の中に入っていて、それらを”自在に”出し入れすることができる状態。」
とでも言っておきましょう。
入試問題で出題されるような応用問題は、“既知の解法を組み合わせる”ことで解けることがほとんどです。
そのためにも、必要な時に必要なものを取り出せるよう、解法を自由自在に操れるようになることが最終目標です。
この領域に至るまでに必要なことを以下にまとめておきます。
①理解型解法暗記で本質理解:我流は排除する
“解法暗記”においてまず最初にしてはならない間違いは、「初見の例題を自力で解き始めてしまう」こと。
たしかに、自力で解いてみると案外解けてしまうことだってあるかもしれませんが、この場合は要点への着目がいい加減で雰囲気で解けてしまっていることがほとんどであり、次なる問題と対峙した時に応用が効かないといった問題がしばしば起きます。
基礎を取り入れて応用を効かせるためには、まず「正しい」とされている解答のコピーから入ることで、基礎の認識に基づいた正しい方針が立てられるようになるのです。
そしてその例題一つひとつには、“文字では表されていない通底する思考の流れの必然性”が存在し、その根底に埋められた“本質”を突き詰めて理解することこそが理想とされる”解法暗記”の「理解型暗記」なのです。
最初は、例題は自力で解かず、模範解答を読むだけでも構いません。
あくまでも我流は排除し、まずはこの”本質”を追求するようにしてください。
②徹底的な問題演習:演習量で圧倒する
「覚えるだけではダメ」というお話をしましたが、結局のところどうすれば良いのか。
結論から言うと、
“演習量”
これに尽きます。
アウトプットを出来るようにするためには、アウトプットの練習をするのが一番手っ取り早いのです。もちろん、ここでは模範解答は見ずに、なるべく粘って解答を絞り出すようにしてください。
ただし、注意すべきポイントは、あくまでも①で手に入れた”本質”を意識した演習を行うこと。
ただ適当に演習を重ねていても一向にアウトプットは出来るようにはなりません。正直なところ、それでは時間の無駄です。
大切なのは、「正しい」とされる解法を自由自在に操れるようになること。そのためにも、”本質”を意識した演習を積み重ねなければ、その”本質”は身につくはずがないのです。
もしどうしても問題が分からなかった時、模範解答を見て、それと同じような問題が網羅系参考書になかったか今一度確認してみてください。ほとんどの場合、類題が載っているはずです。
では、何故解けなかったのか、何故その発想に至らなかったのか。
このように、”本質”を意識した分析を繰り返して初めて”論理的思考力(センス)”が養われていくのです。
こうした形で、ともかく徹底して問題演習を積み、その演習量で圧倒してください。
理系科目における”ひらめき”は、99%の努力の元にあります。
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