媒介変数表示の実際の使い方
僕の経験上、軌跡の問題は大きく分類すると以下の3つです。
- 変動するものが無い場合
- 変動するものが1つの場合
- 変動するものが2つ以上の場合
「変動するもの」というのは「点の座標」や「直線の傾き」などのパターンが多いですね。
軌跡の単元では、「変動するもの」を媒介変数表示し、その媒介変数をいかに消去するかがポイントとなってきます。
少しわかりにくいと思うので、実際に例題を挙げていきます。
変動するものが無い場合
皆さんご存じ、アポロニウスの円ですね。問題文に変動するものはありません。
この類の問題は、そもそも変動するものが無いため、媒介変数表示を使わずに解けてしまいます。他にも、垂直二等分線の方程式や角の二等分線の方程式を求める問題、あるいは数学Ⅲで学習する「二次曲線」などがこの分類に属します。
ほとんどの高校生がつまずくことなく理解できる部分だと思いますので、問題の解説は省略します。
変動するものが1つの場合
どちらも典型題で、見たことがあるという人も多いでしょう。
前者は「点Pの座標」、後者は「直線の傾き」が変動している問題ということが分かると思います。
この類の問題は、「点の座標」「直線の傾き」を媒介変数表示し、その媒介変数を消去することによって解くことができます。ここでポイントになるのが、“媒介変数をいかに消去するか”ということです。
一般に、文字を消去するためにはその分だけの式が必要です。つまり、媒介変数を1つ使用したら式は2つ必要で、媒介変数を2つ使用したら式は3つ必要となるのですね。問題文から条件を読み取って、必要な数だけ立式をしましょう。
以下、僕が受験生時代に実際に問題を解くときの頭の中を忠実に再現してみました。少し回りくどい解説になりますが、是非丁寧に時間をかけて読んでみてください。
例題➀
<例題➀解説>
まずは求める軌跡上の点Gを(X、Y)とします。(鉄則)
「変動するもの」である点Pの座標を媒介変数表示するので、点P(p、q)とおきましょう(ただしOAPは三角形をなすのでq≠0)。このpとqがいわゆる媒介変数で、これら2つを消去するために3つの式を立てます。
【式1つ目】
x座標とy座標それぞれを媒介変数表示する場合は、まずはpとqがどのように動くのかに注目します。
P(p、q)と勝手においているだけだと、点Pは座標平面上を自由に動き回ってしまいます。そこで、pとqの条件式を立てることによって、点Pの動きを問題文に合わせなければなりません。
今回の問題では、点Pは原点中心、半径1の円上を動くので
p2+q2=1
という式を立てることができます。これによってpとqを繋ぎとめることができ、点Pの動きを問題文通りの条件に制限することができました。
【式2、3つ目】
媒介変数によって表された点P(中継地点)と求める軌跡上の点Gの関係式を立てます。
今回の問題では、点Gは△OAPの重心であるので
X=(0+2+p)/3
Y=(0+0+q)/3
という式を立てることができます。これによって点Pと点Gの座標を連結させることができました。
以上3つの式から、解答としての役目を果たさない媒介変数pとq(中継地点)を消去することによってXとYの関係式を得ることができます。
解答:円(X-2/3)2+Y2=1/9 (ただしy≠0)
※存在条件の確認については後ほどお話しします。
例題➁
<例題➁解説>
まずは求める軌跡上の点Bを(X、Y)とします。(鉄則)
「変動するもの」である直線の傾きを媒介変数表示するのですが、既にmと与えられているので新たに文字を置く必要はありませんね。このmを消去するために2つの式を立てる必要があります。
高校数学において「対称」というワードは超重要事項です。「対称」というワードを聞いた時点で2つの式を立てることのできない人は必ず解法暗記しておきましょう!
【式1つ目】
“直線ABと直線y=mxが垂直”という条件からベクトル成分の垂直条件を利用して
(X-3)×1 + (Y-0)×m=0
【式2つ目】
“点Aと点Bの中点が直線y=mx上にある”という条件から
(0+Y)/2=m×(3+X)/2
以上2つの式から、解答としての役目を果たさない媒介変数m(中継地点)を消去することによってXとYの関係式を得ることができます。
解答:円x2+y2=9 ただし(x、y)=(-3、0)を除く
※存在条件の確認については後ほどお話しします。
>>関連記事:【大学入試】得点に結びつくインプットとアウトプットの勉強法
変動するものが2つ以上の場合
さて問題はここからですね…。難関大学で出題される軌跡の問題の多くは「変動するもの」が2つあります(2つ以上と書いたものの、3つ以上のものが変動する問題は正直見たことがありません…)。
前者は「点Aと点Bの座標」、後者は「点Pと点Qの座標」が変動しています。
2つの点の座標をそれぞれで媒介変数表示し、その媒介変数を消去することによって解いていくのですが、ここでポイントとなるのが、“2つの点の座標がどのような関連をもって動くかを式に表すこと”です。
以下、僕が受験生時代に実際に問題を解くときの頭の中を再現していきます。これも少し回りくどい解説になりますが、是非丁寧に時間をかけて読んでいただければと思います。
例題➀
<例題➀解説>
求める軌跡上の点Pは(a、b)と既に定められていますね。(鉄則)
「変動するもの」である点Aと点Bの座標を媒介変数表示するので、点A(α、α2)、点B(β、β2)とおきましょう(ただしα<β)。これら2つを消去するために3つの式を立てます。
点A(a、b)、点B(c、d)という形でおくのが元々のセオリーですが、文字の種類が増えすぎるのは計算上好ましくはないですよね。今回の問題では点A、Bはy=x2上にあり、b=a2、d=c2とすぐに計算できてしまうので、点A(a、a2)、点B(c、c2)という形で媒介変数表示します。
ただしこの表示をすることによって、既に点A、Bがy=x2上にあるという条件を表現できていることに注意してください。
点が円の方程式上や、その他複雑な方程式上にある場合はおとなしく点A(a、b)という形でおき、方程式に(a、b)を代入したものを条件式として使います。
【式1つ目】
今のままでは点A、Bは放物線上をそれぞれが自由に動いてしまいます。まずは点A、Bがどのような関連をもって動くかを式にしましょう。
問題文から、点A、Bは放物線Cと線分PA、PBが囲む部分の面積が常に2/3になるように動きます。
これは1/12公式が使える有名な形ですね!
1/12(β-α)3=2/3
これによって点A、Bの動きの関連性について条件式を立てることができました。
【式2、3つ目】
媒介変数によって表された点A、B(中継地点)と求める軌跡上の点Pの関係式を立てます。
今回の問題では、点A、Bは点Pから放物線に引いた接線の接点です(この条件式の表し方は頻出なので覚えていない人は必ず覚えておいてください)。点A、Bを通るそれぞれの接線の方程式は
y-α2=2α(x-α)
y-β2=2β(x-β)
これらは点Pを通るので、(a、b)を代入して
b-α2=2α(a-α)
b-β2=2β(a-β)
という式を立てることができます。これによって点A、Bと点Pの座標を連結させることができました。
以上3つの式から、解答としての役目を果たさない媒介変数αとβ(中継地点)を消去することによってXとYの関係式を得ることができます。
解答:放物線y=x2-1
※存在条件の確認については後ほどお話しします。
例題➁
<例題➁解説>
まずは求める軌跡上の点Rを(X、Y)とします。(鉄則)
「変動するもの」である点Pと点Qの座標を媒介変数表示するので、点P(p、p2)、点Q(q、q2)とおきましょう(ただしp<q)。これら2つを消去するために3つの式を立てます。
【式1つ目】
点P、Qは放物線上をそれぞれが自由に動くわけではありません。まずは点P、Qがどのような関連をもって動くかを式にします。
問題文から、点P、Qは放物線と線分PQが囲む部分の面積が常に1になるように動きます。
これは1/6公式が使える有名な形ですね!
1/6(q-p)3=1
これによって点P、Qの動きの関連性について条件式を立てることができました。
【式2、3つ目】
媒介変数によって表された点P、Q(中継地点)と求める軌跡上の点Rの関係式を立てます。
今回の問題では、点Rは点P、Qの中点なので
X=(p+q)/2
Y=(p2+q2)/2
という式を立てることができます。これによって点P、Qと点Rの座標を連結させることができました。
以上3つの式から、解答としての役目を果たさない媒介変数pとq(中継地点)を消去することによってXとYの関係式を得ることができます。
解答:放物線y=x2+∛36/4
※存在条件の確認については後ほどお話しします。
- 媒介変数としておくべきは「変動するもの」
- 立式の本数は媒介変数の数+1個
- 「媒介変数同士の関連性」「媒介変数と求める軌跡の関連性」という観点で立式
このように問題を解く筋道に統一性を持たせておくと、かなり解きやすくなるのではないでしょうか。
次のページで「存在条件の確認」について、入試問題を使ってできるだけわかりやすく解説していきます!

コメント