こんにちは。クリリンです。
勉強や、何か物事を覚える際には繰り返し復習することが不可欠だということは皆さんも承知していることでしょう。
しかし、どのようなタイミングで復習すればいいのか困ったことがある人は多いと思います。
そこで今回は、「エビングハウスの忘却曲線」に基づき、脳科学的な観点から見た最適な復習のタイミングについてお話ししていこうと思います。
エビングハウスの忘却曲線とは
エビングハウスの忘却曲線は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス(Hermann Ebbinghaus)によって描かれました。時間経過に伴う記憶の変化が表されています。
エビングハウスは、以下の実験を行い、人間の「忘却」のメカニズムを解明しました。
- 「子音・母音・子音」から成り立つ無意味な音節(rit, pek, tas, …etc)を記憶する。
- 一度覚えた音節を時間を置いてから再び完全に覚え直す。
- 最初の学習と再学習に要した時間の差を記録し、それをもとに、再学習までに経過した時間の「節約率」を算出。
「節約率」とは、最初の学習に対して2回目の学習で時間を短縮できた割合です。つまり、節約率が高いほど、一度覚えたことを学び直すのにかかる労力が小さかったということになります。
よくある誤解として「人が覚えた知識が、時間によってどの程度忘却されてしまうか」に関する実験のように思われがちですが、実際に行われたものは「節約率(記憶の定着しやすさ)」という点であることに注意してください。
エビングハウスの忘却曲線に基づく洞察
こうして得られたデータによると以下のグラフが描けるそうです。グラフの縦軸は「節約率」、横軸は「時間」を表しています。
<節約率>
・20分後‐58%
・1時間後‐44%
・9時間後‐35%
・1日後‐34%
・2日後‐27%
・6日後‐25%
・1ヶ月後‐21%
節約率は最初に音節を覚えた直後は急速に低下し、その後は緩やかに低下していることがわかります。
ただし、この実験は「無意味な音節の記憶」という覚えた事柄が相互に関連し合わない知識を前提としており、一説によると、学問などの体系的な知識であれば、この曲線はより緩やかになると考えられています。
また、自分にとって重要・有益な知識である場合や、復習を重ねることでも、やはり忘却曲線のカーブを緩やかにできることもわかっています。
ともあれ、節約率の大幅な低下を考えると、学んだことは早いうちに復習するのが賢明だと言えそうです。
最適な復習のタイミング
以上の結果を踏まえ、最も効果的に長期記憶に取り入れることのできるタイミングは以下のように提案されています。
➀24時間以内に10分間の復習
UNIVERSITY OF WATERLOO『CAMPUS WELLNESS』
②7日後に5分間の復習
③30日以内に2~4分の学習
効果的な復習をするために、最初に習ったその日のうちに復習することによって記憶しなおす手間を節約することができます。
さらにその後も時間をおかずに何度も復習すれば、脳に「これは大事な情報だ」と思ってもらうまでの負担が少なくて済む、つまり効率的に記憶量を増やして良い成果を出すことに繋がります。
逆に考えると、初めて勉強した時から30日以上経って復習しても短期記憶にはほとんど情報が残ってないので始めからやり直すのと同じくらいの手間がかかることになります。
中学校や高校の定期テストで一夜漬けで暗記して受ける人がいますが、授業で習った時から一度も復習しないでテスト前日に勉強するのはもう一度最初からやり直しているのと同じことなので、非効率的極まりない方法と言えます。
脳の記憶の仕組みを理解していれば、日頃から復習を繰り返しやるほうが全体的な負荷は少ないことがお分かりいただけるでしょう。
普段からコツコツ勉強するのは面倒だとは思いますが、脳科学的な観点から見ても、先延ばしにすればするほど一層面倒臭さは増しているのですね。
まとめ
エビングハウスの忘却曲線のグラフと合わせて脳の海馬がコントロールしている記憶の仕組みを理解しておけば、反復学習を日頃から継続することが勉強の王道だということがお分かりいただけるでしょう。
記憶力の良い人、悪い人の違いも結局は脳の使い方がうまくできているかどうかの違いでしかありません。地道な反復をできる人が当然勉強でも成果を出せるのです。
コメント