こんにちは。クリリンです。
「暗記が苦手。」
耳にタコができるほど聞いた言葉です。
その一方で、暗記が得意な人は一体どのようにして物事を覚えているのか。
彼らは、頭の使い方を工夫しているのです。
すなわち、いわゆる”頭のいい人”は、頭の使い方がとても上手で、脳を最大限活用する方法を知っているため、素晴らしいパフォーマンスを発揮できているだけの話なんです。
そこで今回は、”暗記のコツ”ということで、暗記のプロが必ずやってる記憶術をお話ししようと思います。
記憶のメカニズム:暗記は何故難しいのか
人の記憶には、短期記憶と長期記憶があることは皆さんも聞いたことがあるでしょう。
初めて記憶したものは脳の「海馬」に短期記憶として一時的に保存されます。「海馬」は容量が少ないため、次々に覚えていくと古いものから消去していきます。ただし、覚えた内容のすべてを消去するわけではなく、「海馬」が重要だと判断したものは長期記憶として「大脳皮質」に保存され、忘れにくくなります。
これが基本的な記憶のメカニズムです。
ただし、ここで言う「重要な記憶」とは、命に関わる物事を指し、生命に関わる情報は、本能的に長期記憶として蓄えるというのが人間の元来の性質です。
普段勉強する内容は、ほとんどが命に直接関わるものではありませんので、暗記するためには、長期記憶にするほど大事な情報であると脳に思い込ませなければなりません。
これこそが、暗記が難しいとされる所以であり、そもそも人間の脳は物事をなるべく覚えないようにできているのです。
暗記のコツ-記憶術のすべて
脳に大事な情報だと思い込ませるためには、「反復学習を行う」ことが最もありふれた方法でしょう。
もちろん、暗記の基本は「反復」であり、覚えるまで繰り返すことは暗記において最も大切な姿勢です。
ところが、試験までに残された時間は限られているため、覚えられないからと言って呑気にいつまでも反復することは出来ませんよね。
すなわち、暗記には”効率”が求められるのです。
ここでは、暗記を効率的に進めるための具体的なテクニックをお話ししましょう。
脳が覚えやすいかたちに加工する
記憶術の基本は、情報を「脳が覚えやすいかたちに加工する」ことです。
日本の教育では、「憶えなさい」とは教えても、「どうやって憶えればよいか」まで教えることはないため、ここを履き違えている人が多いですね。
効率良く暗記するためには、ただ闇雲に頭に入れようとしてはいけません。
脳が覚えやすいかたちに加工するため、以下のようなテクニックを利用します。
- イメージ連関
- チャンク化
- 語呂合わせ
イメージ連関
「イメージ連関」は記憶術の最も代表的なテクニックの一つです。
イメージ連関というのは、覚えなければいけない単語や項目のそれぞれに、イメージ画像を持つことです。
人がモノを記憶する時は、なるべく様々な脳の部位を使って記憶するのが良いとされます。 キーワードに対しては左脳記憶が、そのキーワードをイメージして絵にすると、視覚的な右脳記憶が刺激されます。こうして脳全体を使って記憶することで、暗記が飛躍的に進むようになります。
覚えたい事項についてのイメージは、自分に見えたまま、思ったままに持つようにしてください。
例えば、『偏差値41から東大に合格した人の「記憶術」「読書術」「時間術」』(以下参照)で紹介されている、記憶術のプロ、宮口公寿さんの実際の例は、「ペリーの開国要求」であれば、「ペリカンが大きく口を開けている」となっています。
「ペリー」と「ペリカン」なんて一切関わりのない語ですが、ペリカンが口を大きく開けている映像を「ペリー」と結びつけることで、「ペリーの開国要求」を脳全体を使って記憶することが出来るのです。
もちろん、モノによってはなかなかイメージを付けづらいものもありますが、そこで面倒くさがらずに、多少無理やりにでもイメージを付けておくことが暗記攻略の鍵です。
チャンク化
チャンク化とは、情報をいくつかのまとまりに分けることです。
神経科学者のDaniel Bor氏は、「チャンク化」という方法で作業記憶に用いる脳の容量を大幅に拡張できると伝えています。
たとえば、「食事・運動・瞑想」という3つの言葉は、普通の人が聞けばまったく別々の情報にしか見えません。
これをチャンク化の発想を使うことで、「不安対策」というラベル付けができ覚えやすくなります。
また「ダイエット」でも「頭をよくする方法」でもOK、つまりは自分が覚えやすいようなラベルを都合よくつければよいのです。
チャンク化には正式なルールはありません。自分なりに覚えやすいまとまりに分け、しっくりくるグループを見つけるようにしてください。
語呂合わせ
もはや説明不要の記憶術でしょう。簡単な話、語にリズムを付けるということです。
リズムを付けることによって、脳は複数の事項をまとめて1つのことを覚えたと錯覚して、記憶するのに必要な容量が軽くすることが出来ます。
暗記事項を歌にして覚えるのも「語呂合わせ」の一つと言えるでしょう。ただ闇雲に覚えるよりも、歌にすると覚えやすいといった経験がある人は多いのではないでしょうか。
ネットにも語呂合わせはたくさん掲載されていますし、ネットになくとも自分で作ってみるのも良いです。
事実、僕も少し覚えづらそうなことがあればすぐに語呂合わせを適当に作っていましたね。
どんなしょうもない覚え方でも、覚えてしまえば勝ちなのです。
効果的な復習法
さてここまで暗記の小手先のテクニックをお話ししてきましたが、いくらテクニックを利用したところで、1度で覚えられるようになるわけではありません。
あくまでも脳への負担が軽くなるだけであり、反復しなければならないことには変わりありません。
そこで、ここでは効果的な復習方法についてお話ししておきます。
- ミニテスト
- 1分間ライティング
- 人に教える
ミニテスト
「ミニテスト」は以下の手順で行います。
➀本やテキストなどの覚えたいページを読む
②いったん本やテキストを閉じる
③いま読んだページにどんな内容が書かれていたか思い出そうとする
一見簡単そうに思えるかもしれませんが、これが意外とハッキリ思い出せないものなんです。
学習した内容は忘れかけたころに復習すると、生存に関わる重要な情報を優先的に記憶する脳の性質が生かされると言われています。
脳が「あ、また必死に思い出そうとしている。これは生存に関わる重要な情報に違いない」と判断し、長期的な記憶に残そうとするわけです。
したがって、ミニテストを行なうタイミングは「あれ? なんだったかなぁ……。ここまで出かかっているんだけど……」といった状態のときがベスト。
最大のポイントは「いかに必死に思い出そうとするか」です。
この方法で長期記憶に定着する確率は50〜70%上がると言われています。慣れてきたら少しずつ覚える範囲を広げていきましょう。
1分間ライティング
1分間ライティングとは、ひとつのテーマに関連した内容を1分間でひたすら書き出すという手法です。
書くことの良さは、「頭の中身を見える化する」というところにあります。
試験前にテキストのマーカーを引いた部分を見ながら、「ちゃんと覚えられている!」と思ったのに、いざ試験となったらさっぱり思い出せなかったという経験はないでしょうか。
たしかに、「なんとなく」覚えていたのかもしれませんが、きちんと記憶を取り出せないのでは、本当の意味で覚えているとは言えませんよね。
従って、書いて見える化することで、きちんと覚えているかどうかを確認するのです。
また、試験のときには、できるだけ速く書けなければなりません。試験のときに「うーん、なんだっけ?」と時間をかけて考えてようやく思い出せても、それは時間が限られている試験で有効な使える記憶とは言えません。
そこで、1分という制限を設けて、覚えている事柄に関する要素をできるだけ書き出すことで、ただの記憶ではなく、使える記憶にしていくわけです。
こうして、頭の中身を見える化することによって復習ポイントのあぶり出しにし、書けなかった重要な要素があればそこを重点的に復習すればいいのです。
人に教える
いわゆる、最近話題の「アクティブラーニング」ですね。
アメリカ・パデュー大学のカーピック博士の研究で「インプットよりもアウトプットを繰り返すことの方が記憶が脳へ定着しやすい」ことが明らかにされています。
中でも、「人に教える」ことは最も代表的なアウトプット法として知られており、脳科学的な見地においても最も効果的だと言われています。
そもそも、人に勉強を教えるためにはまず自分自身が深く理解しなければなりません。場合によってはテストで結果を出すよりも深い理解が求められることもあるでしょう。
すなわち、人に教える時に上手く説明できない部分が、理解が曖昧になっている部分であり、復習すべきポイントをあぶりだしてくれるのです。
また、「アウトプットすることで記憶を強化する」というメリットもあります。
覚えたことを誰かに説明する、話すということが、記憶強化のアウトプット法としてはベストと言ってもいいでしょう。
最後に:暗記は簡単な事ではない
日本では、何故か”暗記”を揶揄する風潮があり、
「そんなの覚えてるかどうかで決まるやん。」
というように問題を小馬鹿にする人が散見されます。
勘違いしてはいけません。
確かに、暗記は誰にでも出来る作業ですが、「誰にでもできる」からといって簡単な事とは限りません。
そもそも大学受験で問われていることは”暗記”がすべてであり、理系科目での論理的思考を含め、まさにその「覚えてるかどうか」が勝負なのです。
「暗記」を侮ることなく、色々な記憶術を実践してみてください。
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