こんにちは。クリリンです。
皆さんは、「鉄緑会」という進学塾をご存知でしょうか。
東京・大阪・京都・兵庫にしか校舎が設置されていないため、地方に住われている方々の中には「聞いたことない」という方もいらっしゃるでしょう。事実、僕も高校2年生の頃までは存在すら知りませんでした。
しかし、京大医学部に入学した今、「鉄緑会」という言葉はごくありふれた言葉になりました。
京大医学部の生徒は「鉄緑会」で講師バイトをする人がすごく多いんです。
「鉄緑会」とはどんな進学塾かを一言で言えば、「東京大学受験指導専門塾」です。
実に、「鉄緑会」の生徒の半数が東大に合格すると言われており、国内最高峰の東大理Ⅲの合格者のうち、およそ半数は「鉄緑会」の生徒なのです。
そこで今回は、そんな驚異的な合格実績を出す「鉄緑会」に学ぶ受験戦略に迫っていこうと思います。
「鉄緑会」が大切にしている教育方針を洗っていきますよ。
「鉄緑会」とは
「鉄緑会」についてよく知らないという方も多いと思いますので、簡単にお話しておきます。
合格実績
先ほど少しだけ触れましたが、具体的な合格実績は以下の通り。(※下記はすべて代々木1拠点からの実績です。)
2020年度合格実績
学部 | 東大合格者数 |
---|---|
理科1類 | 159名 |
理科2類 | 71名 |
理科3類 | 40名(合格者97名中) |
文科1類 | 88名 |
文科2類 | 44名 |
文科3類 | 37名 |
合計 | 439名 |
大学 | 国公立医学部合格者数 |
---|---|
東京医科歯科大学 | 49名(合格者107名中) |
千葉大学 | 48名(合格者129名中) |
横浜市立大学 | 21名(合格者100名中) |
筑波大学 | 18名(合格者53名中) |
大学 | 私立医学部合格者数 |
---|---|
慶應義塾大学 | 88名 |
東京慈恵会医科大学 | 83名 |
順天堂大学 | 83名 |
2021年度合格実績
学部 | 東大合格者数 |
---|---|
理科1類 | 173名 |
理科2類 | 60名 |
理科3類 | 37名(定員100名中) |
文科1類 | 82名 |
文科2類 | 34名 |
文科3類 | 26名 |
合計 | 412名 |
大学 | 国公立医学部合格者数 |
---|---|
東京医科歯科大学 | 52名 |
千葉大学 | 52名 |
横浜市立大学 | 18名 |
筑波大学 | 15名 |
大学 | 私立医学部合格者数 |
---|---|
慶應義塾大学 | 79名 |
東京慈恵会医科大学 | 81名 |
順天堂大学 | 92名 |
繰り返しますが、これらはすべて代々木1拠点からの実績です。関西の校舎を合わせれば数字はさらに膨れ上がります。その全てを合計した合格実績については詳細が公表されていないため、細かなことは分かりませんが、鉄緑会大阪校HPによれば、
- 東京大学 515名(うち理III 59名 ※医学部推薦合格を含む)
- 京都大学 95名(うち医学部 44名)
- 国公立大医学部合計 499名(阪大医学部 28名、京府医23名 など)
(2020年度合格実績-2020年7月の判明分)
- 東京大学 522名(うち理III 54名 ※医学部推薦合格1名を含む)
- 京都大学 110名(うち医学部 45名)
- 国公立大医学部合計 580名(阪大医学部 33名、京府医28名 など)
(2021年度合格実績-2021年10月の判明分)
が公表されています。
どんな方からしても、「鉄緑会」の合格実績は神がかっていることがお分かりいただけるでしょう。
ちなみに、「鉄緑会」は進学塾であるため、生徒は現役生のみ。つまり、上記の合格実績は全て”現役合格”です。
指定校制度
基本的に、「鉄緑会」に入塾するためには、3ヶ月に1回ほど開催されている入塾試験(英語、数学のみ)を受け、2教科とも合格点に達していれば入塾できる制度です。
ただし、「鉄緑会」には“指定校制度”があり、中1の一番初めの入塾時だけは、指定校(開成・桜蔭・筑駒・麻布・駒東・海城・筑大附・豊島岡・女子学院・雙葉・渋幕・聖光・栄光)と呼ばれる最難関中学校に合格した生徒は、優先的にテストなしで入塾することができる制度があります。
「鉄緑会」の”指定校制度”は有名進学校の「格付け」のような役目を担っており、「鉄緑会」に入塾するために指定校を中学受験するご家庭もあるそう。
もちろん、指定校以外の生徒でも入塾試験に合格すれば入塾できますが、やはり「鉄緑会」に在籍する生徒はこの”指定校制度”経由の生徒が多くなっています。
東大受験に強い進学塾や予備校と言えば、東進ハイスクールや駿台予備校などの名前が思い浮かぶかもしれませんが、
首都圏と関西圏の有名進学校の上位成績者がこぞって通うのは「鉄緑会」なのです。
「鉄緑会」に学ぶ受験戦略
さて、こうなってくるとやはり気になるのは「鉄緑会」の”受験戦略”ですよね。
一体どのようなノウハウが「鉄緑会」の驚異的な合格実績を生み出しているのか。
もちろん、”指定校制度”も相まって、そもそも入塾する生徒のレベルが高いこともあるかもしれませんが、しっかりとした戦略がなければここまでの実績は上がるはずがありません。
ここでは、いよいよそのノウハウについて迫っていきます。
・講師は超難関大学の現役大学生講師が中心
・徹底した精鋭主義とハイレベルな競走環境
カリキュラムの圧倒的な”はやさ”
鉄緑会のカリキュラムは、確実な東大現役合格のための最も効率的な6年間の学習方法を追求したものであり、約40年にわたり培われてきたノウハウの集大成です。
鉄緑会 公式HP『鉄緑会の特色』
鉄緑会のカリキュラムの特色を最も端的に表すとすれば、何と言ってもその圧倒的な”はやさ”です。
[数学]
・数学IA・ⅡBの基礎的な内容は中3で修了。
・数学Ⅲの基礎的な内容は高1で修了。
・高2で東大演習完了。
・高3は東大合格をより確実にするための演習。
[英語]
・大学受験レベルの文法事項は中3で修了。
・高1からは演習中心の授業。
・高2で東大演習完了。
・高3は東大合格をより確実にするための演習。
大まかにですが、大体こんな感じ。
高1までにみっちり英数を固め、理科や国社は高2から授業がスタートします。高2、高3はかなりレベルの高い問題でひたすら演習を積みます。
これは当然のお話かもしれませんが、やはり大学受験というのは勉強を始めるのが早ければ早いほど有利。入試問題の傾向に沿った演習を積む時間を多く確保できれば、それだけ本番での得点力も身に付きます。
「鉄緑会」ではその見解のもと、圧倒的な”はやさ”を重要視しているのです。
講師は超難関大学の現役大学生講師が中心
これだけの合格実績を残しているのであれば、講師は相当腕が立つ大学受験のプロが選抜されているとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際のところ、講師は超難関大学(東大・慶應医学部・東京医科歯科大学・京大医学部・阪大医学部 など)の現役大学生講師が中心となっています。
すなわち、「鉄緑会」の講師のほとんどは所詮”アルバイト”です。
もちろん、”アルバイト”とはいえど、「特に優れた学力を有し、かつ教育及び受験についての深い関心と洞察を併せ持つ人の中で、学力・人物・教え方を三本柱とした試験・面接によって厳しく選別している」とされていますが、それでも教育産業を専門とする人材ではなく、むしろ大学生活における活動の1つとするような人たちが講師として雇われているのです。
鉄緑会の最大の強みは東大理三など難関校に合格した先輩が懇切丁寧に教えること。直近の経験が生き、説得力がある。ほかの塾や予備校ではベテラン講師が重宝がられるが、鉄緑会は生徒よりちょっと年上の若手講師が中心です。
『東大理三、合格者の6割 進学塾「鉄緑会」の全貌』-鉄緑会 会長 冨田賢太郎氏
世の中には”受験のプロ”と自称する人は大勢いますが、受験指導に最も効果的なのは「合格した人から教わること」。
考えてみれば、東大に合格する人で教育産業に関わる人はそう多くはありませんし、医学部に合格する人で教育産業に関わる人などごく僅かです。
「鉄緑会」会長の冨田賢太郎氏によれば、「鉄緑会の教材やノウハウを欲しがる地方の生徒は少なくない。ただ、鉄緑会の場合、教材の市販化は難しい。やはり優秀な講師がこの教材を使って、しっかりと直接教えないと身につかない」といいます。
僕自身も、やはり大学受験には「受かるための勉強法」があるとつくづく感じます。
また、現役大学生を講師につけることによって、単に勉強内容を教えるというだけの関係ではなく、講師自らの受験生時代の経験から、他の教科との配分や、直前期のリアルな事情を詳細に知ることができる他、一人一人を人間として見守り、日々の悩み、将来の進路問題などを共に考えていくなど、学校の先生とは違う、”先輩”としての距離感が実現されています。
「鉄緑会」ではその見解のもと、“日本一の実践的頭脳集団”として、超難関大学の現役大学生を中心として講師を雇っているのです。
徹底した精鋭主義とハイレベルな競走環境
講師が生徒全員を常に把握し、東大現役合格まで責任ある指導を成し遂げるためには、精鋭主義の対面集団指導が最適です。鉄緑会では講師が常時見守る中、適切な人数構成の教室で、共に高い目標を有する生徒たちが互いに切磋琢磨することにより、最大限に学力を伸ばしています。
鉄緑会 公式HP『鉄緑会の特色』
どんなに立派な解法を教わっても、自分で同様の答案を作れなければ意味がありません。受験は最終的には個人の戦いであり、自ら考え、独力で正解に到達する力が求められます。
「鉄緑会」では”講師陣自らが思考力や発想力を磨いてきた方法”そのものを、実地で繰り返し指導することで、自ら考える力を養っていきます。
従って、生徒全員に東大現役合格する学力を身に付けさせるため、居残り指導も厭いません。余力のある優秀な生徒、やる気のある生徒にも個人指導は行われます。
「生徒一人一人に合った方法で、できる限り高い学力をつける。」
「鉄緑会」ではこうした徹底した精鋭主義が大切にされています。
また、中高の6年間に渡って学習意欲を維持し、常により高いところを求めて学び続けることは容易ではありません。
そこで、先述の通り、「鉄緑会」では原則として東大進学有名校に通う方をのみ指定校生徒として受け入れており、さらに内部では学力別のクラス編成をしています。
年2回の校内模試などを通して、ハイレベルなライバルたちと共に競い合い、また時には助け合う。
そうしたよき仲間たちに恵まれるのが「鉄緑会」という場なのです。
最後に:「鉄緑会」のデメリット
こんなお話をすると、誰もが「鉄緑会」に憧れを抱くかもしれませんが、なにも「鉄緑会」に入会することがすべてではありません。
「鉄緑会」のデメリットとして挙げられるのは、「ついていけない」ということ。
大抵の場合、変に「鉄緑会」に入塾してしまうと、あまりの進度のはやさについていけません。こうした事態のことは、通称“鉄崩れ”と呼ばれています。
「通称」が出来てしまうほど、「ついていけない」と悩む生徒は多いのです。
ともかく詰め込み型で勉強していくため、
・部活と両立できない。
・学校行事には積極的に参加できない。
・学校の定期テストの対策が出来ずに成績が悪くなってしまう。
なんてことも起こってくるかもしれません。
また、「鉄緑会」では宿題の提出も特になく、講師もそれほど生徒に対して厳しいという人はあまりいません。「やる気がある人には徹底的なサポートを行うが、やる気のない人にまで手を差し伸べない。」というスタイルとでも言っておきましょう。
授業進度についていけず、戦意を喪失してしまった結果、
・宿題を提出するために解答を写す。
・解きなおしをしなかったので定着せず、苦手意識が残る。
なんてことになってしまえば、「鉄緑会」に通い続けるのはむしろ逆効果。
「鉄緑会」は退塾する生徒も少なくないのです。
とはいえ、「鉄緑会」のカリキュラムについていくことができれば、東大・医学部の合格はもう間近。
冨田氏によれば、「有名進学校の生徒といっても天才なんてほとんどいない。うちに来てもまれて、鍛えられて能力が高まる生徒が大半です。ですから東大理三に受かったからといってテングになるような子はいないですね」と話します。
「鉄緑会」の凄まじき合格実績の真相は、”洗練された受験戦略”と”生徒自身のセルフマネジメント能力”にあるのかもしれません。
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