こんにちは。クリリンです。
何か物事に打ち込む時、
・”質”重視:効率の良いやり方を調べてから取り組み始める
・”量”重視:とりあえず成り行きで始めてみる
どちらの方が良いのか悩んだことはないでしょうか。そこで登場するのが『質量転化の法則(=量質転化の法則)』
これは、「量をこなすことで質も高まる」という考え方であり、「最初は下手でも、やっているうちに効率よく進められるようになっている」という意味です。
確かに、何事も上達するためにはある程度量をこなさなければならないことは誰もが承知のことですが、
本当に量をこなしていれば質も高まっていくのでしょうか?
いくら努力を積み重ねても、一向に上達しないことに悩む人も多いはず。
そこで今回は、量をこなすことで質が高まるカラクリを浮き彫りにし、質を高めるための改善のコツをお話ししていきます。
- 【結論】『質量転化の法則』のカラクリ → 量をこなせば”何が「できない」ことなのか”が分かるようになる。
- 【手順】脳死での積み上げはNG → 既に「できる」ことに取り組む時間を極力減らす。
『質量転化の法則』のカラクリを理解すれば、「何をすべきなのか」が見えてくるはず。
「質」とは?
「質」の元々の意味について、考え直してみることにします。
「量」については
・勉強に取り組んだ時間
・取り組んだ問題の数
など、わかりやすい指標があると思います。
では、「質」とは何でしょうか?
「質を上げる」と一言で言っても、具体的にどのようなことを指すのかイマイチよく分からないという人が多いのではないでしょうか。
結論を言うと、「質」とは”「できない」ことをどれだけ「できる」ようにできたか”
ということ。
一見すればごく当たり前のことのように思えるかもしれませんが、多くの人が見失いがちなことなので、ここは強調しておきます。
『質量転化の法則』のカラクリ
量をこなせば質が上がるカラクリは、一言で言えば”何が「できない」ことなのか”が分かるようになる
ということに鍵があります。
以下、そのプロセスを詳しく見ていきましょう。
上達のプロセスを図式化してみる
何かしら課題に立ち向かうにあたって、現段階の皆さんには大抵の場合「できる」ことと「できない」ことが入り混じっています。
このことを図で表すとこんな感じ。
今はこうして書いていますが、実際に課題に取り組むときは、どこが「できる」でどこが「できない」なのかは分からないものだと思ってください。
簡単な話、私たち人間は何か課題に挑戦するにあたって、「”何ができないことなのか”が分かっていない」という状況です。
例えば、先生に「何か分からないことはありますか?」と聞かれた時、「理解は出来ていないんだけど、何を質問すれば良いのか分からない。」という経験は誰にでもあるはず。
言ってしまえば、「何もかも分からない…。」と言いたくなりますよね。
これこそがいわゆる、「”何ができないことなのか”が分かっていない」という状態。
生徒が先生に「良い質問ですね。」と言われている光景を見たことがあるかもしれませんが、そもそも良い質問をするためには「自分は何が分かっていないのか」が分かっていなければならず、それはある程度勉強が進んでいる人にしかなし得ません。
従って、上達のプロセスとしてまず最初に必要なことは、「”何ができないことなのか”を理解すること」から始めることになります。
「量」をこなす目的2つ
以上の解説に基づくと、『質量転化の法則』を上手く活用していく上で「量」をこなす際に意識すべき目的は2つです。
①どこが「できる」でどこが「できない」なのかを探す。
→”何が「できない」ことなのか”を理解する。
②「できない」を「できる」にする。
→先生や友人に聞いて「できない」を解決する。
人間が成長するプロセスは大まかにこの2ステップに分けることができます。そして多くの場合、①どこが「できる」でどこが「できない」なのかを探す。のステップは見過ごされがち。
最初のうちは”何ができないことなのか”すら分からないので成果は上がりにくいですが、”何ができないことなのか”が理解できれば、「できない」→「できる」のステップも効率的に進むはず。
これこそが『質量転化の法則』のカラクリなのです。
「できない」を「できる」にするためには、まず"何ができないことなのか"を理解する必要があるということは重々理解しておいてください。
「量」をこなす上でのポイント
先ほどもお話ししましたが、「質」とは”「できない」ことをどれだけ「できる」ようにできたか”
ということ。
つまり、量をこなす上で大切なことは、「できる」に取り組む時間を極力減らし、なるべく多くの「できない」を「できる」に変えること
ということになります。
「できる」に取り組んでいる時間が多ければ多いほど、それがいわゆる「質の悪い勉強」ということになります。脳死で量を積み重ねても質は上がらないことも理解できるはず。
以上のことを踏まえた上で、意識しておくべきポイントを2つにまとめました。
②「できる」に取り組む時間は「自己満」
「できる」に取り組む時間は「必要悪」
「”何ができないことなのか”を理解する」と言葉で言うことは簡単ですが、これが案外大変な作業。
何かしら課題を与えられた時点では「自分は何ができて、何ができないのか」というのは、人それぞれでも異なり、誰にも分かったものではありません。
従って、「できない」を探していく作業を進めていく以上はどうしても「できる」に取り組む時間が出てきてしまいます。
実際に作業に取り組むことを想像してみれば分かるはず。
大切なのは、この「できる」に取り組む時間というのを「必要悪」として割り切って受け入れるしかないということ。
その上で、「できる」に取り組む時間を極力減らすよう意識していきましょう。
「できる」に取り組む時間は「自己満」
「できる」に取り組む時間が「必要悪」とはいえど、決して成長につながるモノではありません。ここまでのお話で最も気を付けていただきたいのは、「できる」に取り組むだけで成長した気になってしまうこと。
よくあるパターンが、「もともと解ける問題を解いて勉強した気になっている人」。
それは「勉強」ではなく、問題が解けるという快楽に浸るだけの単なる「自己満」です。
もちろん、この「自己満」を全面的に否定するわけではありません。
そもそも”できる自分”に浸る「快楽」が「成長」の元々の価値ですよね。「成長」の楽しさを忘れてはいけません。
しかし、「できる」に取り組むことはあくまでも「自己満」であり、「成長」ではないということを理解しておくことが大切。
ここを勘違いしている人があまりに多いのが現状です。
まとめ
- 「質」とは”「できない」ことをどれだけ「できる」ようにできたか”ということであり、上達のため最初に必要なことは「”何ができないことなのか”を理解すること」である。
- 最初のうちは”何ができないことなのか”すら分からないので成果は上がりにくいが、”何ができないことなのか”が理解できれば、「できない」→「できる」のステップも効率的に進む。(質量転化の法則)
- 「できる」に取り組む時間は「必要悪」であるものの「自己満」でもあり、「できる」に取り組むことは「成長」ではないということを理解しておくことが大切。
物事に挑戦する本来の目的は、「できない」を「できる」に変えること
であるはずであり、そのためには"何ができないことなのか"を理解すること
が大切です。
自分の「できない」は何かを理解し、「できる」に変えていく努力をひたすら積んでいけば、おのずと結果は実を結ぶはずです。
この本来の目的を忘れないよう注意しながら、「量」をこなしていきましょう。
以下の記事でその仕組みについて解説します。
>>関連記事:勉強の質を上げる方法-テスト効果を利用して「メタ認知能力」を高める
ただ「忘れた」といえばそれまでですが、そんなことを言っていたらキリがありません。
以下の記事で、少し深い議論をします。
>>関連記事:できる問題の復習方法-要復習問題の見抜き方
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